高市早苗首相(64)が推進する物価対策の一環として検討されてきた「お米券」に、使用期限が設定される方針であることが明らかになりました。自治体によっては配布にばらつきが見られるこの政策ですが、主導する農林水産省の真意に注目が集まっています。
NNN(日本テレビ系列)の報道によると、通常使用期限のないJA農協発行のお米券に対し、政府が配布するお米券は「2027年9月まで」という期限が設けられるとのことです。早い自治体では12月からの配布となるため、使用期限は約9か月間と短く感じられます。
コメ価格の現状と「コメ離れ」の加速
小泉進次郎前農相(44)が打ち出した「備蓄米放出」により一時的に下落したコメの店頭販売価格ですが、新米の出回りとともに再び高騰し、「リバウンド」現象を見せています。現在、5キロあたり4500円、銘柄米に至っては5000円と、過去最高水準が続いています。
これに対し、消費者の家庭では価格高騰に反比例するように「コメ離れ」が加速しています。米穀安定供給確保支援機構の調査によれば、2025年8月の一人当たりの精米消費量は平均4299gで、前年同月比4.6%減を記録しました。これは6か月連続で前年同月の平均値を下回る状況です。
鈴木憲和農林水産大臣
業界からの切実な訴えと政府の「不介入」姿勢
こうした危機感からか、12月2日に新潟市で開かれたJAやコメ農家との会合で、コメ卸大手・神明ホールディングスの藤尾益雄社長は「やはり5キロ3500円が適正。みんなで5キロ3500円で売れるようにしないと」と、相場を下回る価格での販売を同業者に呼びかけました。
藤尾社長は11月にも朝日新聞の取材に対し、「正直、60キロ3万5000円で買った米を、2万5000円では売れない。国が買い取って安く売るしかないのではないか」と述べ、高値で買い付けたコメの価格問題に“お手上げ”状態で、政府による“助け”を求めていました。
このような状況下で、政府が動かしているのが「使用期限付きお米券」の配布策です。この政策の中心にいる鈴木憲和農相(43)は10月22日の就任会見で、高値のコメ価格に対し「コミット(関与)しない」「価格はマーケットの中で決まるべき」と「不介入」の姿勢を示していました。たしかに、お米券の配布は価格に直接介入するものではありません。
しかし、この政策には疑問の声も上がっています。元読売テレビアナウンサーでフリージャーナリストの辛坊治郎氏は、12月5日に自身のXを更新し、「お米券を配る最大の理由は、米暴落を防いで、高く買いすぎた米流通業者、農協を守ることにある」との私見を述べ、「これが政治だ」と締めくくっています。
政策の真の目的と今後の展望
今回の「使用期限付きお米券」の配布は、高騰するコメ価格と減少する消費量という二つの課題に対処するための政府の取り組みですが、その背景には、コメ流通業者や農協の経営安定化を目的とする側面も指摘されています。消費者にとっては物価高騰の緩和策となり得る一方で、政策の真の意図とその効果については、今後も議論が続くでしょう。





