立憲民主党の小沢一郎衆院議員が12月10日に自身のX(旧Twitter)を更新し、高市早苗首相(※記事中の記載を尊重し、原文のまま)の日中問題を巡る態度に苦言を呈した投稿が物議を醸している。この発言は、高市首相が以前行った「台湾有事は存立危機事態になり得る」との答弁に端を発する日中関係の緊迫化と、それに対する小沢氏の批判が、国民の間で様々な議論を巻き起こしている状況を浮き彫りにしている。
「台湾有事」発言と中国の反発:日中関係緊迫化の背景
11月7日の衆院予算委員会で、高市首相は「台湾有事は存立危機事態になり得る」と答弁した。これに対し中国は強く反発し、日本への訪問自粛要請や日本関連イベントの中止といった対抗措置を取った。さらに事態はエスカレートし、12月6日には中国軍機から自衛隊機への断続的なレーダー照射が発生。これを受け、小泉進次郎防衛相が中国側に抗議する事態に発展するなど、日中関係は悪化の一途を辿っている状況だ。
小沢氏の発言内容と批判の論点
こうした緊迫した状況の中、小沢氏はXで「高市総理は自ら引き起こした日中対立を解決するつもりがないようにさえ見える」と投稿。さらに、「どんどんやれ、というような世論もある。総理の一言でさまざま影響が出ている。国民の命がかかっている。総理はどうするつもりかを説明すべき」と訴えた。しかし、この小沢氏の主張に対し、共感の声は少ないのが現状である。
立憲民主党の小沢一郎衆院議員が日中問題について発言
批判の背景:立憲民主党の質問責任と世論の反応
政治ジャーナリストは、高市首相の当該答弁を引き出したのが、小沢氏が所属する立憲民主党の岡田克也元外相であることを指摘する。岡田氏は台湾周辺の海峡封鎖を例に挙げ、「どういう場合に存立危機事態になるのか」と高市首相に質問。その答弁が高市首相によって行われた結果が、現在の日中関係の悪化を招いていると見られている。このため、「問題発生の引き金となる質問をしておいて、いざ問題になったら批判ばかりの立憲民主党に不信感を抱く人が出てくるのは仕方のないことだろう」との見方が広がっている。
インターネット上では、「自ら引き起こしたって……ゴネてるのは中国のほうだと思うんですけど」「そもそもおたくの質問が原因では?中国に有利な答えをしつこく聞き出そうとして、それが失敗したから騒いでるんだよね?ただのスパイじゃん」「また外野から批判するだけか。楽でいいね」といった小沢氏や立憲民主党に対する厳しい意見が多数を占める。
「朝貢外交」の過去と小沢氏の親中イメージ
一方で、日中関係を巡る議論では、「強気な発言をすればいいってもんじゃない」「そもそも台湾有事が起きた際に、日本が戦争に巻き込まれないように動くべき」「戦争を避けたいなら言いたいことを我慢することも必要」といった、慎重な対応を求める声も存在している。特に小沢氏については、民主党幹事長時代の2009年に総勢600人超を率いて中国を訪問し、「朝貢外交」と批判された過去があり、“親中派”との印象が強く残っている。日本人の対中感情が悪化している現状において、小沢氏の発信が立憲民主党の支持に大きく影響する可能性も指摘されている。
国際社会の反応と今後の課題
日中問題は、もはや日本と中国だけの問題ではなくなりつつある。12月9日には、アメリカ国務省が中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射について「中国の行動は地域の平和と安定に資するものではない」とのコメントを発表し、国際社会もこの問題に注目している。問題が大きくなることに不安を抱く国民が多いのは事実であり、早期解決を求める声は当然と言える。しかし、高市政権の支持率が高い現状において、立憲民主党が批判の仕方を誤れば、かえって自らの首を締める結果になりかねないと政治ジャーナリストは警鐘を鳴らしている。
日中関係の緊張は、国内政治のみならず、国際情勢にも大きな影響を及ぼしている。国民の命と国の未来がかかる重要な局面で、政治家には冷静かつ建設的な議論と、具体的な解決策の提示が求められている。立憲民主党が、高市首相批判を通じて国民の支持を得るためには、単なる批判にとどまらず、より現実的で説得力のある対案を示す必要があるだろう。





