学校のブロック塀、安全対策道半ば 大阪・高槻、4人書類送検





大阪北部地震で児童が亡くなった高槻市立寿栄小学校のブロック塀があった場所。現在はフェンスになっている=20日午後、大阪府高槻市(沢野貴信撮影)

 昨年6月の大阪北部地震で、大阪府高槻市立寿栄小学校のブロック塀が倒壊し、同校4年の女児=当時(9)=が下敷きとなって死亡した事故で、大阪府警は20日、業務上過失致死容疑で、当時の高槻市教育委員会の担当者やブロック塀の点検業者の計4人を書類送検した。

 学校のブロック塀の撤去や安全対策は道半ばといえる。文部科学省の最新の調査では、ブロック塀のある全国の学校の約半数が、内部点検や撤去などの安全対策が未完了であることが明らかになっている。

 同省が今年4月、全国の公・私立の小中高校や幼稚園など、ブロック塀のあった約2万校を対象に実施した調査結果によると、ブロック塀の安全対策が未完了だったのは半数近い9398校に上った。

 そもそも点検が未完了なのが3590校。点検で安全性に問題があったが、撤去・改修が終わっていないのは5808校だった。このうち3915校は今年度中に撤去・改修が完了する予定だが、1893校は来年4月以降にまでずれ込む見込みという。

 同省は調査結果を受け、今年8月、各都道府県教育委員会などに対策を急ぐよう通知。担当者は「外観や設置場所から危険性が低いとされたブロック塀は、予算面などから調査や撤去が後回しになっている」としつつ、「できるだけ早く塀の内部調査や撤去を実施するよう学校側に促している」と話した。

 一方で、学校などの公共施設以外のブロック塀も全国に数多くある。大阪北部地震でも、一般民家のブロック塀の下敷きになった男性=当時(80)=が死亡している。

 国土交通省は対策を強化しようと、今年2月から、ブロック塀の耐震診断や除去・改修の費用に対する補助制度を充実させた。上限はあるものの、ブロック塀の除去・改修費用などについて、国が一部を負担。残りの負担については自治体によって異なるが、高槻市の場合、除去費用について自己負担がかからない制度も市独自に導入している。

 今回、国が定めた補助制度は、耐震診断を義務化できない長さ8メートル以下の小規模なブロック塀も対象。そのため、一般民家に設置されたブロック塀への活用も期待される。

 ただ、国は自治体を通じて補助を行うため、市区町村などが制度を整備しなければブロック塀の所有者は補助を受けられない。同省によると、10月1日現在で、全国の市区町村のうち約半数しか態勢が整っていなかった。

 担当者は「どんなブロック塀でも倒壊すれば危険。少しでもリスクを減らすため、安全対策は粘り強くしていく」とする。



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