在韓米軍の撤収は来年か?2020年の朝鮮有事と韓国クーデター勃発の可能性を探る(2)

在韓米軍の撤収は来年か?2020年の朝鮮有事と韓国クーデター勃発の可能性を探る(2)

さて(1)の続きを始めるか。鈴置さんのコラム記事を再度取り上げる。

2020年の朝鮮半島 「帰らざる橋」を渡り始めた韓国 南北クーデターの可能性に注目
12/25(水) 15:30配信 デイリー新潮

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日本が独島に攻めてくる

――在韓米軍がいなくなっても同盟は続くのでは?

鈴置:「駐留なき安保」論ですね。韓国の場合、それは難しい。在韓米軍の撤収とともに、同盟も壊れる可能性が高い。米韓同盟には自動介入条項がないからです。今は在韓米軍が存在するからこそ、自衛の意味から侵略者に対し米軍は戦います。

しかし米軍撤収後に北朝鮮や中国が韓国を攻めた際、米国が軍を送るかは疑問です。その義務はないからです。これまでなら他の同盟国が米国を信頼しなくなる、との懸念から米国は介入したと思います。

在韓米軍の撤収は来年か?2020年の朝鮮有事と韓国クーデター勃発の可能性を探る(2)

でも、これだけ露骨に韓国が「離米従中」に走った以上、その懸念は薄れます。同盟国は「韓国は不実だったから見捨てられた」と考えるからです。むしろ米国は「裏切り者の末路」を示すことができるのです。

――在韓米軍が撤収したからといって、侵略されるとは限らない……。

鈴置:もちろんそうです。でも、侵略の可能性が増すのは事実です。例えば、日本。米軍がいなくなれば日本が竹島(韓国名・独島)を取り返しにくると多くの韓国人が信じています。それ以上に北朝鮮、中国、ロシアからの攻撃に備えた方がいいと思いますが。
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https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191225-00600352-shincho-kr

自動介入条項がないというのは、有名みたいですね!他の記事でも、何度か目にしました。

何しろ地理的な制約があるからな。日英同盟でさえも自動参戦条項は付随していなかった。

日英同盟があったから日本はロシアに辛勝できた
そうなんですか?

その代わりに日英同盟がすごいのは中立と参戦を義務付けている点だ。考え方次第ではこれは事実上の自動参戦条項ともとれるね。日本が他国との戦争に巻き込まれた場合には中立を維持し、複数国間との戦争になった場合には英国が参戦してくれるという主旨の内容だ。

ええっ?

具体例で説明した方が分かりやすいね。日露戦争前の当時ロシアはフランスと同盟を組んでいたんだ。露仏同盟という。この状態で日本がロシアと戦争をするとなると日本はフランスをも敵に回さなければいけない可能性があったんだ。

絶対に勝てないじゃないですか!

そう。だから日英同盟は重要だった。日英同盟のおかげでフランスは日露戦争に参戦できないばかりか、ロシアへの軍事協力でさえも不可能になったんだ。参戦すれば英国との戦争状態に突入することを意味するからな。これはネット百科事典にも書かれているくらい基本的な事実だ。

そうだったんですね・・・。そんなに、強い同盟だったなんて。

日本がロシアに戦勝できたのはぶっちゃけ奇跡に近いと思うよ。辛勝だったというのもそうだが、英国が同盟国として重要な役割を担ってくれたからこそ勝利をもぎ取ることができたんだ。

それなのに日本は第一次世界大戦で英国への協力を拒んだ。英国が複数国間との戦争に巻き込まれていたというのに、日本陸軍は最後まで派兵する決断を下さなかったんだ。これが日英同盟解消の直接的な原因になったことは言うまでもない。

海軍だけじゃ、ダメなんですか?

同盟国の要求を断るという事例そのものがだめだね。同盟国ならばいついかなる場合にも、地球上のどこであっても助けに行くという気概がなければいけない。英国はそうしてくれたね。おかげで日本はロシアに勝てた。日本はその恩を返すべき時に返さなかったから敗戦国になってしまったんだ。

重たい現実ですね・・・。でも、当時はアメリカも日英同盟に反対してたし、直接的な原因は、人権的な提案が拒否された事みたいですけど。

その結果米国と戦争をすることになってしまっただろ?もしも日英同盟が長い間維持されていれば米国もまた日本とは戦争ができなかった。英国とも戦争をすることを意味するからだ。日英同盟の解消はここ100年で最も重大な失策と断言することさえ可能になると思えるね。

米韓相互防衛条約=米韓同盟は他の軍事同盟と異なり範囲が限定的
アメリカと韓国の同盟は、日英同盟とは全然違いますよね?

明確に違うね。米韓同盟を担保しているのが米韓相互防衛条約だが、この中身を見ると適用範囲は”各当事国の領土”に限定されているようだ。第3条に書かれているらしい。

米韓相互防衛条約は、どこで読めますか?

Google検索で探してほしい。あるPDFファイルが見つかる。俺が見ているのは韓国側の視点からまとめられたもので、非対称性に重きを置いている論調の文章だ。

見つかりました!

分かったか?全部で21ページのPDFファイルだ。そこに条約の適用対象について書かれているが、明確に各当事国の領土のみと記載されている。この条約はNATOやANZUSとは異なりお互いの軍や船舶、航空機などを含まないから限定的だとされている。

「アンザス」って、何ですか?

米国とオーストラリア、ニュージーランド間の軍事同盟だそうだ。この名前は俺もほぼ初めて知った。それらの強力な軍事同盟とは異なり、韓国との同盟では韓国領だけを守ればいいのであって韓国の船や航空機、軍そのものは守る義務がないことになるわけ。

じゃあ、韓国軍が竹島で日本と衝突しても、アメリカは助けてくれないって事ですか?

いい質問だね。竹島問題こそが米韓相互防衛条約のアキレス腱として作用する可能性があるんだ。米国は竹島は韓国領だとは認めず、日本が放棄する島嶼の中に竹島を含めないという形で暗に日本領だということを認めたんだ。よって米国には元来竹島を防衛する義務は存在しない。

でも、韓国の解釈では、竹島は韓国の領土なんですよね?そうなると、米韓相互防衛条約との、矛盾が発生すると思います!

まさにそこ。米国はサンフランシスコ条約締結当初は竹島の帰属を明確にしなかったが、もしも日本が竹島に攻め込む場合にはそれを明確化しなければならなくなるんだ。これが米韓同盟が現存するうちは日本が竹島を奪還できない真の理由だと思っている。

米国はなぜ韓国との軍事協定を朝鮮戦争前に締結したのか?
それだけじゃなく、韓国側が原案として求めたNATOやANZUSと同じような案がもし採用されていたら、米国には北朝鮮の瀬取りに協力する韓国の船舶をも防衛しなければならない義務が発生していた可能性があるんだ。米韓相互防衛条約が限定的だったからこそ致命的な事態には陥らなかった。

韓国との同盟には、最初からムリがあったような気がします・・・。韓国も、アメリカを騙すために、同盟を組もうとしたんですよね?

奇妙なのが、事実上の同盟関係成立のきっかけとなった米韓軍事協定は朝鮮戦争が始まる1950年6月25日の前なんだよ。当時独立したばかりの韓国との軍事同盟で米国は何をしようとしていたのか?という疑問を持たざるを得ない状況だ。

確かに・・・。「米韓軍事協定」って、なぜかネット百科事典から省かれてますよね?リンクがないので、存在する協定なのかどうかも確かめられないです。

ここまで記事タイトルとだいぶ異なる話を進めてきてしまったが、米韓同盟がどういうものか、さらには破棄されるかどうかについてを論じるには重要な説明だったと思ってるし別にいいよな?

いいと思います!アメリカ軍の撤収=アメリカと韓国の同盟解消ですよね?

事実上のね。何しろ自動介入条項がないうえに、条約適用範囲がお互いの領土に限定されているからな。つまり韓国領から米軍基地が消えてしまえばそれは同盟解消を意味するんだよ。

じゃあ、米韓同盟は、破棄されませんか?

100%ないと断言してもいいかもしれない。悪い意味でだ。破棄する意味が1ミリもないからだ。破棄する必要がないなら破棄されないだろう。

クリスマス後のせいか気分が高揚してしまい(3)に突入するもよう
さっきまとめた在韓米軍の状況だけど、これに加えて米韓同盟の事実上解消という観点についてもまとめようと思っている。

【2019年12月25日時点での在韓米軍の状況】
・防衛費交渉は2020年に持ち越し、47億ドルよりも下がる可能性大
・国防権限法2020は無事に成立
・北朝鮮の大陸間弾道ミサイル発射は2020年早々か
・米国防総省は韓国を含む同盟国への中距離ミサイル配備を検討
・在韓米軍は多くの家族が避難済み、残された家族も避難を検討中
・米海兵隊関係者は在韓米軍抜きでも北朝鮮と戦えると明言

在韓米軍の撤収=米韓同盟の解消ですよね?

念のため“事実上解消”としておきたい。

【在韓米軍撤収が米韓同盟の事実上解消に繋がる理由】
・自動介入条項がないから
・条約適用範囲がお互いの領土内に限定されるから(第3条)
・日本が竹島に攻め込んだ場合、”韓国領”を守るつもりがないことが露呈するから

3番目が特に大事な気がします・・・。

その通り。韓国側は米韓相互防衛条約を持ち出し、もし日本が竹島に攻め込む場合には在韓米軍が守る必要があるとの認識まで示しているんだ。この話は別途まとめようと思うが、まさに米韓同盟のもろい部分をむき出しにしていると言えるね。北朝鮮は米韓同盟の限定的な要素に着目して南進計画を進めてきたに違いない。

じゃあ、やっぱり朝鮮有事は、起こらないのでは?

そこはもう少し分析を重ねる必要があるね。次の回では北朝鮮や韓国でクーデターが起こるかどうかについてをまとめて完結としよう。

ええっ?じゃあ、(3)まで続けるんですか?

その予定だけど?別に愛国日報が毎回(2)で終わらすから我々もそれを真似したりする必要はないだろ?間延びしないように配慮はしているつもりだ。

竹島の話を、別にやるなら、ボクはいいと思います!

当然だ。2014年にケリー元国務長官がある”失言”をしたことについての話をしようと思っている。ワトソン君も意識を途切れさせないように準備しておいてくれ。

中国事案は、今日はやめるんですか?

すまんまだ有能さんの承認は得てない。どうせ年末だし重要事案もないだろうという思い込みをしている。ストップがかかったらその時は了承してほしい。俺も今気分が高揚していてまだまだこの話は続けたいと思っている。

わ、分かりました!黒井さんが気分いいなんて、珍しいですね。

いつも不機嫌かのように言うのをやめろwww