厚生労働省の労働政策審議会分科会が27日開かれ、労働基準法上の賃金請求権の時効見直しについて議論した。2年の時効を改め当面は3年とし、5年後に5年まで延長するかどうか検討するとの内容でまとまった。来年4月施行の改正民法で、未払い金を請求する権利がなくなる期限(消滅時効)が5年に統一されることを受け、分科会で議論していた。
賃金請求権は、残業代などの未払い賃金を請求できる権利。これまでの分科会で労働側の委員は、労働者の権利保護のため改正民法と同じ5年の時効を求めたが、企業側の委員は賃金台帳などの記録を長期間保管する負担が重いと延長に反対。24日の分科会で、学識者らによる公益代表の委員が、折衷案としていったん労基法を改正し時効を5年と明記した上で、当面は3年とする案を示した。27日の分科会で労使が合意した。
見直し案では、期限を延ばすと行使が遅れる可能性があるとして、年次有給休暇の取得や労災補償を請求する権利は現行の2年のままにするとしている。