日経平均株価が3万8915円の史上最高値をつけてから、29日で30年の節目を迎える。東京株式市場はこの間、バブル崩壊とデフレ、リーマン・ショック、アベノミクス相場を経験してきた。一方、時代の変遷とともに、個人は株式投資に消極的になってきた。将来不安の高まりが、個人投資家の意識を「もうける」から、「資産形成」や「相続」へと向かわせている。
27日終値は前日比87円20銭安の2万3837円72銭。反落はしたが、米中貿易交渉の進展期待と好調な米国景気を背景に米国株が最高値圏を推移する中、東京市場にも楽観的な空気が広がっている。
日経平均が最高値をつけたのは平成元年末の「大納会」。この翌年から、日本株は転落する。住友生命保険の年末恒例の「創作四字熟語」を振り返ると、当時の状況がよく分かる。
バブル崩壊から間もない4年の作品「地金投土(ちきんなげっと)」には、「株式や土地を売りたくても売れない。もう投げ出したい」という庶民の苦悩がにじむ。
リーマン・ショックのさなかの20年10月は日経平均が一時7000円割れした。「株式逃資(かぶしきとうし)」は資産が目減りしていく様を表現した作品だ。
足元の日経平均はピークの6割まで回復した。ただ、1860兆円の個人金融資産の半分は現金や預金として積まれたままだ。個人の有価証券投資に対する関心の薄れを裏付けるように、創作四字熟語では、円安が進んだ26年の「日本低円(にほんていえん)」を最後に、投資に直接関係する作品が優秀作品に選ばれることは途絶えた。