渡世人として生きることを選び、家族を捨てた男の懺悔(ざんげ)と贖罪(しょくざい)、そしてかすかな希望-。藤沢周平が原作で描いた美しき日本の原風景を、超高精細映像の8Kカメラで撮影した。フランス・カンヌのテレビ番組の国際商品見本市「MIPCOM」や、東京国際映画祭などに出品されるなど、世界を視野に入れた作品として打ち出された時代劇「帰郷」が、1月の期間限定上映を経て、いよいよ2月に時代劇専門チャンネルで放送される。
「帰郷」の舞台は信州・木曽福島。その山深い里を余すところなく映し出した舞台で、物語は展開する。主演は、黒澤明監督作品にも出演したレジェンド、仲代達矢。仲代は老いた渡世人の宇之吉を演じる。
宇之吉は若かりし頃、親分の罪をかぶり、木曽福島を離れて江戸へ。江戸で相州屋清五郎の家へ通ううち、その妻、おとしと道ならぬ関係になり、清五郎をあやめ、江戸を出奔。以来30年、流浪の旅を続けたが、病に倒れ、老い先を悟り木曽福島へ戻る。
そこで出会った斬り合いをしていた男、源太は、自分の知らないうちに生まれていた娘、おくみと恋仲にあると後に知る。
源太を狙い回していたのは、宇之吉のかつての兄貴分、九蔵。かねて、おくみに目をつけ、源太への嫌がらせを続けていた。業を煮やした源太が九蔵を斬りつけたことが、九蔵が源太を狙い回す発端となっていたのだった…。
すべてを捨てたかに見える宇之吉の、静かにそして熱く燃える心の炎。おくみを常盤貴子、源太を緒形直人、宇之吉の若き日々を北村一輝、九蔵に中村敦夫と、重厚な布陣で描く世界初の“8K時代劇”。鮮やかな映像で令和の世に送る。