コンビニエンスストア大手のローソンとセブン-イレブン・ジャパンは、元日休業や時短営業の実験を31日夜から始めた。人手不足に端を発したコンビニの「24時間営業、年中無休」のビジネスモデルを再検証する取り組みとして注目を集める。
ローソンは複数店舗を展開する加盟店オーナーを中心に参加を呼びかけ、25都道府県の102店を選んだ。参加する約8割が12月31日夜から休業に入るという。売り上げや商圏への影響などを検証し、令和3年以降の年末年始休業の検討材料とする。
「開いていると思って来店したお客さんに対して、店が閉まっていれば期待を裏切ることになり『コンビニエンス』ではなくなる。二度と行かないと思うかもしれない。再開して客が本当に戻ってくるのか、不安はある。どんな結果が出るのかみてみたい」と話すのは、参加店の1つ、「ローソン中野セントラルパークイースト店」(東京都中野区)の経営者、前田宏さんだ。JR中野駅から徒歩数分の距離にあるオフィスビルに立地する同店は、31日午後10時、自動ドアを施錠して店内照明を落とした。2日午前10時まで休業する。
前田さんは都内で36店舗を経営しており、「普段から人手不足」とはいえ、やりくりがきく状況にある。例年、実験店の元日の売り上げは平日の半分以下になるが、従業員を減らして利益を確保してきた。今回の実験参加で、24時間営業ゆえに開店や閉店の作業手順が存在しない中、作業手順が確認・検討できるメリットもあると思っているという。
元日休業する港区内のセブン-イレブンの店舗は大手企業の本社やホテルが立ち並ぶ一角にあり、隣接ビルや大通りをはさんだ向かい側に競合コンビニが出店する。31日夕方は、菓子パンを買いに来た作業着姿の男性や、お年玉袋の購入ついでに折り目の少ない千円札でのつり銭を求める高齢女性など、ぽつりぽつりとだがコンスタントに客が来店した。
セブンは都内中心に直営店50店で元日休業や三が日の時短営業(夜間休業)を行う。今回の休業・時短の実験は、休業前後の売り上げや利益変動、地域の需要動向を確認するのが目的だ。実験店の所在地を公表していないが、SNS上では三が日の営業時間の変更を知らせる店舗の張り紙の写真が情報共有され、働き方やビジネスモデルに対する話題作りに使われていた。