【映画おすすめ】Fukushima50 佐藤浩市「最後の砦 役作りせず」 3月6日公開





佐藤浩市さん(川口良介撮影)

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災による津波で、制御不能となった福島第1原子力発電所の施設内に残った約50人を、海外メディアは「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」と呼んだ。この呼称を冠した映画が今春公開される。彼らと現場を指揮した吉田昌郎所長の壮絶な“闘い”を描いた作品だ。主演の佐藤浩市(59)に作品に寄せる思いを聞いた。(水沼啓子)

 原作は、ジャーナリスト、門田隆将のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)だ。

 自身が演じた福島第1原発1・2号機当直長、伊崎利夫は、「最前線で闘ったヒーローというより、その場から逃げるわけにはいかなかった人間」という。「自分たちが、避難した家族が、なんとか家に戻れるようにしなければ、という思いで中央制御室に残ったのではないか」と、主人公の苦しい胸中を代弁する。

 ノンフィクションをもとにした作品だから、「役作りは必要なかった。すべての事実がそこにあったので、それを自分が目の当たりにして受け止められるか、受け止められないかを表現しただけ」という。

 原子炉の冷却は困難を極め、上がり続ける放射線量。劇中ではこんな緊迫した現場が克明に描かれた。「映画が始まって1分もたったら、最後まで走ってしまうだろう」。疾走する場面展開に深い没入感を約束する。

 「見終わって劇場を一歩出て、道行く人たちや街並みの灯を見たとき、誰もが絶対に何かを感じてくれるはず」。佐藤と同じように、街の風景が変わるかもしれない。

 3月6日、東京・新宿ピカデリーや大阪ステーションシティシネマなどで全国公開。2時間2分。

【あらすじ】

 福島第1原発1・2号機当直長、伊崎利夫(佐藤浩市)は全電源が落ちた中央制御室内に約50人の地元出身の作業員らととどまり、決死の覚悟で水素爆発を防ぐため奮闘する。一方、所長の吉田昌郎(渡辺謙)は緊急時対策室で、刻一刻と悪化する現場の状況を東電本店に報告しながら、最悪の事態を阻止すべく奔走する。

【プロフィル】佐藤浩市(さとう・こういち) 昭和35年、東京都生まれ。父は俳優、三國連太郎。55年、俳優デビュー。翌年に出演した映画「青春の門」などでブルーリボン賞新人賞を受賞。日本アカデミー賞最優秀主演男優賞などの映画賞を多数受賞している実力派俳優。



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