繁殖力が強いネズミの印象から、子年は相場が「繁栄」するとも占われる。昨年は、世界経済の波乱に振り回され、消費税増税で財布のひもは固くなった。五輪特需の剥落も懸念される。一方で今年は、第5世代(5G)移動通信システムのサービス開始や、電気自動車(EV)の本格普及が、経済活性化につながると期待も高まる。人工知能(AI)の活用も浸透していく。
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■懸念は米大統領選の影響 田辺裕晶
米中貿易摩擦の激化や、英国の欧州連合(EU)からの合意なき離脱は回避された。今年の日本経済は、楽観的な雰囲気の中でスタートした。消費税増税で落ち込んだ個人消費も徐々に回復し、東京五輪終了に伴う関連需要の剥落も政府経済対策で相殺されそうだ。ただ、米大統領選での番狂わせなど、引き続き海外情勢が懸念材料となる。
◆経済対策の効果
「潜在成長率(1%程度)を超える成長軌道に戻ってもおかしくない」。大和総研の小林俊介シニアエコノミストは、年後半に景気が上昇気流に乗ると見る。
日本経済は、米中摩擦に伴う輸出不振を旺盛な内需が補う構造が続いてきた。ただ、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減や、増税による物価上昇で実質所得が低下し、半永続的に1兆~2兆円規模の消費支出が抑制される「負の所得効果」で内需に陰りが差している。今年前半は足踏み状態が続きそうだ。