【香港=藤本欣也】香港で半年以上にわたり続く抗議活動が越年した。市民らが香港政府や中国共産党に求めているのは、「5大要求」全ての受け入れだ。
5大要求とは、(1)逃亡犯条例改正案の完全撤回(2)デモを「暴動」と認定した香港政府見解の取り消し(3)警察の暴力に関する独立調査委員会の設置(4)拘束・逮捕されたデモ参加者らの釈放(5)行政長官選や立法会選での普通選挙の実現-である。
さらに最近は、デモ隊を制圧する際に過度の暴力を振るっているとして「警察組織の解散」も要求している。
このうち、香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」については、香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官が昨年9月に完全撤回を表明。香港・中国当局がそれ以外の譲歩を拒否する中、昨年11月24日に香港区議会(地方議会)選が行われ、5大要求全ての実現を訴えた民主派勢力が85%の議席を獲得する圧勝を収めた。
それでも林鄭氏は譲歩する姿勢を示していない。
このため、「1月1日、政府に改めて民意を示そう」(13歳の男子中学生)などと、集会やネットを通じて元日デモへの参加が呼び掛けられていた。
「一人一票」の直接選挙で行われた区議会選で、自らの意思を表明することができた市民らは「選挙の民主化」の必要性を再認識したようだ。この日のデモでも、親中派に有利な間接選挙が導入されている行政長官選や、今年9月に実施される予定の立法会(国会)議員選を、完全な直接選挙で行うよう求める声が多かった。