昨年9~10月に発生した台風15号、19号などの自然災害により業績や経営に影響があったと回答した企業はほぼ半数の57社にのぼり、経済活動への被害の大きさを改めて印象づけた。
交通や建設、運輸、エネルギーといったインフラに関わる企業の大半で業務遅延や設備への被害があった。これにより、製造業では「新製品の着荷が遅れ、上期の業績に影響が生じた」(電機)といったケースもあった。小売りや外食では客数が減り、損害保険各社は保険金支払額の増加で業績が押し下げられた。
一方、商社は全社で大きな影響はなかったと回答。リスク対策をしている自動車関連や、被害の比較的小さかった関西に本社や拠点を置く企業も業績に与える影響は軽微だった。
また、自然災害へのリスク対策を「すでに実施している」「今後実施する予定」と回答した企業は合計で全体の9割を超え、企業の危機意識の高さをうかがわせた。多くの企業で災害発生時に備えて、取るべき対応をまとめた「事業継続計画」(BCP)の策定や改訂を実施していることが分かった。近年の台風被害を教訓に「重要設備の高い位置への配置」(繊維)や「従業員に配慮した臨時休業の実施」(小売り)などの対策も取られていた。
インフラ関連企業は「停電復旧に向けたドローンなどの活用」(電力)や「混乱防止のための計画運休の実施」(運輸)など、これまでに効果のあった対策を今後も実施するとした。