陸上自衛官の身分証明書のカードを偽造したとして、警視庁公安部は14日、有印公文書偽造容疑で、中国籍で東京都台東区松が谷の留学生、王詩超容疑者(23)を逮捕した。公安部によると、偽造品は陸上幕僚長の公印のような印影が記載されるなど本物と仕様が似ており、王容疑者は中国で使われているインターネットのチャットを通じて購入したとみられる。
王容疑者は日本語学校の生徒。調べに対し、中国国内で行う趣味のサバイバルゲームで自衛官に扮する際などに使っていたといい、「なりすます目的はなかった」と供述。防衛省陸上幕僚監部広報室によると、これまでに王容疑者による関連施設への侵入は確認されていないという。
偽造品は表面に自身の顔写真が掲載されていたほか、氏名欄に日本人男性のような名前、階級欄に「陸曹長」と記されていた。裏面にICチップのような図柄などがあり、公安部は鑑定を進めている。
逮捕容疑は昨年8月、陸上自衛官身分証1枚を偽造したとしている。この時期にチャットを通じて偽造品を注文し、1800円程度で購入したとみられる。
警視庁が同10月、世田谷区内の駅周辺で、キャリーバッグを引いて周囲を見回す王容疑者に職務質問し、「有効期限」が異なる偽造品2枚の所持を確認。自宅を捜索するなどして裏付け捜査を進めていた。
防衛省は警視庁の情報提供を受け、10月以降、新宿区の同省や全国の駐屯地などで身分証の目視確認を徹底している。