東芝、量子暗号を2年度に事業化へ 米国から金融、医療など展開





東芝本社ビル=東京都港区

 東芝は21日、通信データの盗聴を防ぐ次世代技術「量子暗号通信」について、令和2年度に米国で事業化を始めると発表した。機微な情報を取り扱う金融や医療などの分野での活用を想定しており、将来的に米国以外への事業展開も視野に入れる。日本企業で量子暗号通信を事業化するのは東芝が初めてだという。

 量子暗号通信は、情報を暗号化した上で暗号文の解読に必要な「鍵」を光の粒である「光子(こうし)」に乗せて送受信する仕組み。鍵の通信の途中で第三者が盗聴しようとすると光子の状態が必ず変化するため、受信者は盗聴を察知することができる。既存の暗号は超高速で計算できる量子コンピューターにより解読が可能とされているが、理論的に盗聴不可能な量子暗号は“史上最強の暗号”と呼ばれる。

 東芝は、事業化にあたり、顧客に専用の送受信機やソフトなどを提供。2年度中の米国での展開に向け、関係企業との最終調整を続けており、「世界のデファクト(事実上の標準)を目指す」という。同社は平成3年から基礎研究を始め、今月14日にはヒトの遺伝情報(ゲノム)の全データを伝送する実証実験に成功したと発表している。



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