北海道占冠村のアイヌ民族の有志団体「コタンの会」が札幌医科大(札幌市中央区)に対し、研究目的で保管するアイヌの遺骨36体の返還を求めた訴訟で、コタンの会は21日、訴えを取り下げた。遺骨が出土した浦河町内の別のアイヌ団体と埋葬先を巡って意見が分かれており、所有者である浦河町から意見の集約を求められたため。
コタンの会は出土場所への再埋葬を希望する一方、浦河町の「浦河アイヌ協会」は白老町に整備されるアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」での保管を主張している。
コタンの会の清水裕二代表は記者会見で「アイヌ同士の討論がスムーズに行かず、苦渋の決断。地元で眠るのは(アイヌにとって)最高の幸せと協会に訴えたい」と話した。原告側代理人の市川守弘弁護士は「いったん訴訟を取り下げ、粘り強く話し合いをしていきたい」としている。