【赤の広場で】モンゴル人力士に羨望



日本語が達者なモンゴル出身の両横綱、鶴竜(左)と白鵬

 日本で大相撲初場所が開催中だ。記者は中学生時代以来の大相撲ファンで、観戦歴は20年を超えた。2017年には全6場所を現地観戦。モスクワでは中継が見られず残念だが、結果は必ずチェックしている。

 大相撲に触れたころの驚きの一つは、モンゴル出身力士の日本語の達者さだった。その驚きは今では称賛と羨望に変わっている。なぜなら記者は、ロシア暮らしが通算2年を超えながら、いまだに伝えたいことをうまくロシア語にできず、歯がゆい思いをすることが多いためだ。

 彼らは10代から日本語しか通じない相撲部屋に身を置く。そんな厳しさを経験していない記者と彼らの言語力に違いが出るのは当然なのだが、最近、作家の司馬遼太郎さんの本を読んで救われた気もした。

 大学でモンゴル語を専攻した司馬さんによると、日本語とモンゴル語は同じ語族に属し、語順などが同じで、相互の習得が欧米系言語に比べ圧倒的に容易なのだという。ロシア語が上達しない一因を知った気がして、一人で膝をたたいた。

 しかし職務上、安心している暇はなく、日々、訓練を続けている。その成果か先日、正月休暇で日本に帰ったとき、家族に「寝言がロシア語だったよ」と言われた。モンゴル人力士の背中が少しは見えてきたのだろうか。(小野田雄一)



Source link