黒田総裁「政府経済対策が景気拡大に大きな効果」 日銀、経済成長見通しを上方修正





会見で記者の質問を聞く日銀の黒田東彦総裁=21日午後、東京・日本橋本石町の日本銀行(酒巻俊介撮影)

 日本銀行は21日、金融政策決定会合を開き、併せて公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、令和元年度から3年間の実質国内総生産(GDP)の成長率見通しを上方修正した。黒田東彦(はるひこ)総裁は会合後の記者会見で、「政府の経済対策効果が景気拡大基調の維持に大きな効果を持つ」と説明。3年度に向けて「成長率はやや加速する形で潜在成長率(1%程度)を上回る」との見解を示した。

 展望リポートでは、令和元年度の成長率見通しを昨年10月時点の0・6%から0・8%に、2年度は0・7%から0・9%に、3年度は1・0%から1・1%にそれぞれ引き上げた。

 一方で物価上昇率の見通しは、元年度からの3年間で0・1ポイントずつ下方修正。黒田氏は「成長率の上振れは物価にプラスに働くが、タイムラグや石油価格の下落を考えると物価見通しはほぼ変わらない」とした。

 懸念されている海外経済の下振れリスクについては、米中貿易協議での「第1段階」の合意や英国の欧州連合(EU)離脱問題の改善を踏まえ、「ひところに比べると下方リスクはやや低下した」と指摘。ただ、米中貿易協議の第2段階合意が見通せず、中東情勢をめぐる地政学リスクのくすぶりを挙げ「リスクは依然大きい」と強調した。

 超低金利が長引くことで金融機関の収益を圧迫する金融緩和策の副作用については、「現時点では(緩和の)効果がコストを上回っている」と述べ、現行の緩和策を据え置いた。



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