【カイロ=佐藤貴生】言論と表現の自由に関する国連のケイ特別報告者らは22日、米通販大手アマゾン・コムのベゾス最高経営責任者(CEO)の携帯電話がハッキングされて情報が流出したとの報道を受け、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が関与した可能性があるとし、米国などに捜査を求める声明を出した。
声明は、サウジの反体制記者カショギ氏が同国当局者に殺害された事件を調査したカラマール特別報告者との連名。ベゾス氏は米紙ワシントン・ポストを所有しており、同紙はカショギ氏の皇太子批判の寄稿をしばしば掲載していた。声明は「ポスト紙の報道に影響を与えるため、ベゾス氏監視に皇太子が関与した可能性がある」としている。
ケイ氏らによると、ベゾス氏は皇太子と2018年4月に携帯電話の番号を交換し、5月1日に通信アプリ「ワッツアップ」の皇太子の個人アカウントから映像付きのメッセージが送られてきて以降、数カ月にわたって大量のデータが流出した。
ベゾス氏の「iPhone(アイフォーン)」は情報を盗み、監視するスパイウエア「ペガサス」に感染していたとみられ、サウジ当局者がよく利用していたとされる。
疑惑は英紙ガーディアンが報じ、サウジのファイサル外相は22日、「ばかげている」と否定した。カショギ氏は18年10月、トルコのサウジ総領事館で殺害された。