露とトルコ「米国不在」で覇権争い シリアに続きリビアでも





 握手するロシアのプーチン大統領(右)とトルコのエルドアン大統領=1月19日、ベルリン(タス=共同)

 【カイロ=佐藤貴生】リビア内戦を通じ、ロシアが中東で勢力圏を拡大することへの懸念が欧米で広がっている。シリアで内戦に介入して影響力を確保したロシアは、リビアで民間軍事会社を通じて浸透を図ってきた。一方でトルコもリビアに干渉する姿勢を崩さず、米国が中東への関与を薄める姿勢を示すなか、力の空白に付け込みロシアと勢力争いを演じている。リビア情勢は「米国不在」をにらんだ中東の覇権を占う試金石となりそうだ。

 リビア内戦でロシアの存在感が急速に増したのは昨年のことだ。プーチン露大統領の側近が率いる露民間軍事会社ワグナー・グループが数千人ともいわれる雇い兵や兵器を送り、東部を拠点とする有力軍事組織「リビア国民軍」(LNA)を支援している-と欧米メディアが報じてきた。

 これに対し、西部の首都トリポリの暫定政権を支援するトルコは今月、兵力増派を決定。緊張の高まりを受けて19日にはベルリンで国際会議が開かれたが、米国がポンペオ国務長官の出席にとどめたのに対し、英仏独は首脳が顔をそろえ、リビアに対する欧米の温度差が浮き彫りになった。

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