【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は27日、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、米国が策定を進めてきたイスラエルとパレスチナの新中東和平案に関し話し合った。トランプ氏は会談の冒頭、記者団に新和平案の全容を28日正午(日本時間29日午前2時)に予定される共同記者会見で発表すると明らかにした。
トランプ氏は新和平案に関し「中東の平和にとって非常に重要だ」と強調。「多くのアラブ諸国が和平案の内容に同意した」とも述べた。ネタニヤフ氏も「世紀の取引(である中東和平)は世紀の機会であり、見過ごしたりはしない」と語り、トランプ氏に謝意を表明した。
トランプ氏は27日、ネタニヤフ氏の政治的ライバルで、昨年9月の総選挙で第1党となった中道右派の政党連合「青と白」のガンツ共同代表(元陸軍参謀総長)とも会談した。
ガンツ氏は和平案について「重要で歴史的な一里塚だ」と称賛し、自身が政権の座に就いた際は必ず履行するとした。
トランプ氏は3月に実施される、この1年間で3度目のイスラエル総選挙を前に、誰が政権を握ろうと中東和平を推進していく意向をネタニヤフ氏とガンツ氏に伝えたとみられる。
トランプ氏はこれまで、イスラエルの新政権樹立まで新和平案の公表を見合わせるとしていたが、同国では昨年4月と9月の総選挙で組閣に失敗したことから、この時期の発表となった。
和平案の内容は「イスラエル寄り」になるとの見方が強い。パレスチナ自治政府はトランプ政権を「誠実な仲介者ではない」と非難。自治政府のシュタイエ首相は27日、新和平案について「国際法の基本や奪うことのできないパレスチナの権利と矛盾しており、拒絶する」と表明した。