大手銀初の平成入行組 「細谷イズム」の改革受け継げるか りそなHD新社長の南昌宏氏 





握手を交わすりそなHDの次期社長に就く南昌宏取締役と東和浩社長、りそな銀行の次期社長に就く岩永省一取締役(左から)=31日、東京都中央区(西村利也撮影)

 りそなホールディングス(HD)は31日、南昌宏取締役(54)を4月1日付で社長に昇格させる人事を正式発表した。傘下のりそな銀行と埼玉りそな銀行の社長にはいずれもりそなHD取締役の岩永省一氏(54)、福岡聡氏(54)を充てる。りそなHDの東和浩社長(62)と埼玉りそな銀行の池田一義社長(63)はそれぞれ代表権のない会長に退く。

 大手銀行持ち株会社や傘下銀行では初めてとなる平成入行組トップの誕生だ。りそなは過去に不良債権問題で実質国有化され、平成24年に病で倒れた細谷英二会長の下、徹底した顧客目線で再生した。起用に応え、改革の精神を引き継いで逆風の国内市場で生き残れるか。手腕が試される。

 従来の金融業とインターネットを融合させる「オムニチャネル」戦略の責任者として、邦銀最大の約840店の店舗網を活用しながら、スマートフォンのアプリも生かし、若者層など新規顧客を開拓してきた。東京都内で31日開いた記者会見では「時代が大きく変化する中でデジタル化は避けては通れない。既存分野も新しい分野も、お客さまとの接点も変えていかなくてはならない」と強調する。

 こうした戦略には、営業時間の延長や「待ち時間ゼロ運動」など、銀行では異例のサービス改革を進めた細谷氏の薫陶が生きる。JR東日本の副社長からりそなのトップに転じた細谷氏は「銀行の常識は世間の非常識」と訴え、27年の公的資金完済の道筋をつけた。

 国内最重視の営業方針を掲げるりそなは、超低金利による利ざや(貸出金利と預金金利の差)の縮小や、異業種参入による競争の激化など経営環境悪化の影響を真正面から受ける。国内顧客のニーズをくみ取り、サービス改革を加速できるかが課題だ。東和浩社長が「新しい業務について想像力たくましい」と太鼓判を押す次世代のエースに改革のバトンは委ねられた。(田辺裕晶)



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