トランプ氏弾劾裁判、「有罪」へ民主の戦略崩れる



1月30日、アイオワ州を遊説するトランプ米大統領(ロイター)

 【ワシントン=住井亨介】トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる上院での弾劾裁判で、野党・民主党が求めた証人尋問が否決され、「反トランプ」世論の喚起による「有罪・罷免」を狙っていた同党の戦略は失敗に終わった。裁判は早期終結の見通しだ。

 同党のシューマー上院院内総務は1月31日に、「上院は真実に背を向け、いかさま裁判を是認した」と述べ、証人喚問に反対した共和党の対応を非難した。

 同党は、ボルトン前大統領補佐官(安全保障問題担当)の証人尋問をテコにして、上院で多数派の共和党議員の一部に、翻意を促すシナリオを描いていた。

 米紙ニューヨーク・タイムズは、同氏が近く出版予定の著書で、トランプ氏が対ウクライナ軍事支援の再開条件として、バイデン前副大統領をめぐる問題の調査を同国政府に要求したことを暴露する、と報じていた。バイデン氏は11月の大統領選で民主党の有力候補だ。

 疑惑の核心に触れる部分で、証言が実現すれば「圧力はなかった」とするトランプ氏に打撃となる可能性があった。だが、暴露本報道は共和党の一部議員を動揺させはしたものの、証人尋問の採決で同党議員の造反は2人にとどまった。

 一方、共和党はトランプ氏に不利な証言が出ることを警戒し、証人尋問の回避も全力をあげてきた。同党上院トップのマコネル院内総務は、証人尋問の実施確約を求めて弾劾訴追決議の上院への送付を意図的に遅らせた民主党の手法に批判が高まるのを待つなど、巧みな対応で逃げ切った。



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