造船大手のジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市西区)は3日、舞鶴事業所(京都府舞鶴市)での船舶建造を終了すると発表した。令和3年6月までに受注済みの船舶の建造を終え、その後は防衛省向け艦船の修理に特化する。従業員約300人の雇用は維持し、配置転換する方向で検討していく。
建造終了に伴い、2年3月期連結決算で48億円の特別損失を計上する。最終損益は360億円の赤字となる見通し。
造船業界は、世界的な「船余り」を背景にした供給過剰に苦しんでおり、中国と韓国、日本による競争が激化している。JMUによると、舞鶴事業所が手掛ける中型のばら積み船やタンカーは特に厳しい環境が続いているという。同社は今後、商船を有明事業所(熊本県長洲町)と呉事業所(広島県呉市)、津事業所(三重県津市)の3カ所で、艦船は横浜事業所(横浜市)で建造する方針だ。
JMUは昨年11月、国内首位の今治造船(愛媛県今治市)と資本提携で基本合意。今治はJMUに最大30%を出資する方向で検討している。今回の建造終了は、提携に備えた措置でもありそうだ。
JMUは、平成25年にIHIとJFEホールディングスがそれぞれ約46%、日立造船が約8%を出資して設立された。船舶建造量は今治に次ぐ国内2位。
造船業界では、ほかにも三菱重工業が長崎造船所香焼工場(長崎県長崎市)を大島造船所(同西海市)に売却する方向で検討するなど、再編の動きが加速している。