肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中国政府が中国人の団体旅行を禁止した影響で、大手百貨店の春節期間(1月24~30日)の免税売上高が前年の春節期間(2月4~10日)比で大きく減少したことが3日、分かった。
3社が発表した1月の売り上げ速報によると、今年の春節期間中の免税売上高は高島屋が14・7%減▽三越伊勢丹ホールディングスが約10%減▽J・フロントリテイリング運営の大丸松坂屋百貨店が5%減-だった。期間中の減少は団体旅行禁止直後から出始め、高島屋では「29日以降に前年比3~4割減」と急激な落ち込みだったという。三越伊勢丹HDの三越銀座店や伊勢丹新宿本店では期間中の免税売上高は2割減となるなど、中国人客の利用度合いの差も表れた。
百貨店は主力の婦人服で不振が続く中、訪日客の伸長で中国人客の購買力の重要性が増しており、新型コロナウイルスの拡大は百貨店期待の春節商戦に冷や水をかけた形だ。2月に入っても「外国人客は減っている」(三越伊勢丹HD)という。
また、現段階では日本人の客足には影響は出ていないものの、今後、「外出を控える動きは一定程度考えられる。(売り上げへの)影響が出る可能性がある」(高島屋)との声も出ている。さらに「今は日本人客への直接の影響はないが、新型コロナウイルスの収束は見えない。感染拡大して国内の消費マインドが下がると厳しくなる」(三越伊勢丹HD)など、国内消費マインドへの影響も危惧されている。
1月の売上高(速報値)は、暖冬影響による冬物重衣料のクリアランスセール不振や消費税率引き上げの影響が残り、3社とも前年割れだった。