埼玉県は、バブル崩壊後に就職難に直面した30代半ばから40代後半の「就職氷河期世代」を対象とした職員採用試験を来年度に実施する方針を固めた。新年度予算案に関連費用を計上する。複数の関係者が5日、明らかにした。政府はこの世代の正規雇用者を3年間で30万人増やす目標を掲げており、県も連携してサポートを強化する。
県が実施する氷河期世代向けの職員採用試験は対象年齢が34~49歳(来年度)で、事務職5人を採用する予定だ。学歴や職歴を問わず、幅広い条件で、通常の職員採用試験とは別枠で募集する。今夏以降に複数回の試験を行い、令和3年度の採用となる。
氷河期世代を対象とする公務員の採用は全国的に広がっており、愛知県と兵庫県が2年度から職員を採用する。昨年12月に総務省が各都道府県に就職機会を促しており、東京都や富山県、滋賀県、鳥取県が来年度から採用試験を実施する方針を示している。
埼玉県内では和光市と富士見市が2年度の採用試験を実施している。県が3年度の採用試験の実施を決めたことで、他の市町村にも採用の動きが広がる可能性がありそうだ。
また、県は氷河期世代の就業支援も強化する。昨年11月に同世代対象の合同企業説明会を実施したが、来年度は回数を2回に増やす。就業機会を広げるため、来年度から企業向けセミナーも新たに始める。
来年度の初めには、社会保険労務士などの専門家が就業後の悩みなどを聞き、氷河期世代をアフターフォローする取り組みも始める。今年度と同様に正社員を目指す同世代への就職カウンセリングも継続する。
来年度には埼玉労働局が同世代への就職支援を推進するため、産学官の団体などで構成する協議会を設置する。県も協議会と連携し、同世代の就職支援を全県で展開する方針だ。
(黄金崎元)