【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は4日の一般教書演説で「世界各地で米国のリーダーシップを再生させる」と述べ、強力な軍事力を背景とした外交・安全保障政策を推進していく立場を打ち出した。一定の成果を上げた中東などでの「過激なイスラム系テロ」との戦いには詳しく言及する一方、北朝鮮の核問題には全く触れず、米朝の非核化協議が停滞したままであることをうかがわせた。
トランプ氏は、米軍がイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者を昨年10月に、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を今年1月にそれぞれ殺害したことを成果として強調した。
ソレイマニ司令官については「何千人ものイラク駐留米兵を死傷させた、イラン体制で最も残酷な殺人者だ」と非難し、司令官が「新たな攻撃を積極的に計画していた」と訴えた。
トランプ氏はその上で「テロリストたちへのメッセージは明確だ。米国の裁きを逃れることはできない。米国民を攻撃すれば命はない」と警告した。
イランのハメネイ体制に対しては核開発計画の放棄や外国テロ組織の支援の停止を改めて要求。対イラン制裁は効果を上げているとの認識を示した。
アフガニスタン情勢に関しては「米国は他国の法執行機関の役目を務める立場にない」と指摘。アフガン和平合意が実現できれば「米国で最長の戦争を終わらせ、部隊を帰国させる」とし、駐留米軍を撤収させる考えを表明した。
1月に発表したイスラエルとパレスチナの新中東和平案については「過去の取り組みは全て失敗した。地域の安定化には決断力と創造性が必要だ」とし、従来の枠組みに縛られない和平を模索すると強調した。