日本郵政の増田寛也社長は10日、産経新聞などのインタビューに応じ、令和2年度中にも日本郵政として新たなビジネスモデルの方向性を公表する考えを示した。傘下のかんぽ生命保険の不正販売問題では、行き詰まったビジネスモデルが無理な営業を助長したとされる。令和3年度から始まる郵政グループの次期中期経営計画にもこうした方向性を盛り込む。
増田氏はかんぽ生命の不正販売の全容解明と、被害救済が最優先課題とした上で「同時並行的に会社として成長ビジョンを考えないといけない」と指摘。具体的には「不動産分野は成長の柱になり得る」とした。また、不動産に限らずM&A(企業の合併・買収)も投資戦略の重要な柱として検討しているとし、「既にいろいろ案件が持ち込まれている」と述べた。
事業別では、日本郵便はインターネット通販が広がる中で物流事業を強化。ゆうちょ銀行は地方銀行など他の金融機関との連携を進めるほか、かんぽ生命も魅力ある商品の開発などを進めていくとした。
全国に約2万4千局ある郵便局のネットワークは「維持する」と強調。その上で、今後、人口減少がさらに進めば郵便局に求められる役割も変化していくとし、「お客さまが欲しているサービスを提供しないと存在意義はない。地域によって対応は変わるだろう」とした。
組織を内部から見た印象については「外から見ていた以上に事業会社の縦割り、壁の厚さが大きい。全体が見えている人は限られている」と述べた。
辞任した日本郵政上級副社長が当時の総務事務次官から行政処分の検討状況を聞き出していた情報漏洩(ろうえい)問題に関しては、社内調査を開始したことを明らかにした。