米大統領が上下両院の議員を前に行う一般教書演説は米国政治の一大イベントだ。4日のトランプ大統領の演説を議場で聞いた。演台からみて、議員席の左半分に与党・共和党議員が座り、右半分を野党・民主党が占める。左側から盛大な拍手と歓声がわき、右側が静まり返る正反対の反応が手に取るように分かる。
米テレビもそんなコントラストを巧みに切り取り、対立する与野党の姿を映し出していた。主要テレビ局の報道姿勢も対照的で、政権に批判的なCNNテレビは演説を酷評。保守系のFOXテレビは大統領をたたえた。議場ではテレビに捉えられるのを意識してか、肩をすくめ「ノー!」と声を張り上げるなど演説への批判姿勢を示す民主党議員の姿が印象的だった。
演説終了後、議場から出てきた議員を取材できる場所がある。面白いのは、主要テレビ局のカメラの前に議員が作る「出演待ち」の列だ。全米に流れる番組で放映されれば、地元有権者にワシントンでの「仕事ぶり」をアピールできる。やはりCNNの列には、白いスーツでそろえた民主党の女性議員らが目立った。
世論調査では、自分は保守的だと考える人がFOXに信頼を寄せ、リベラル志向の人はCNNに頼るとの結果がある。主要メディアが世論を形作る力の大きさを痛感する。(塩原永久)