習近平氏「大規模リストラ許すな」 中国指導部、社会不安を警戒





北京市内では、新型肺炎の影響で休業を続けている飲食店が多く、雇用不安も指摘される(三塚聖平撮影)
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 【北京=三塚聖平】肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中国の習近平指導部が雇用対策を重視する構えを見せている。中国政府は企業に対して従業員のリストラをむやみに行わないよう求め、企業への支援策を打ち出す地方政府も相次いでいる。雇用環境が悪化すれば社会不安につながる恐れがあるため、新型肺炎の影響による解雇や人員削減が本格化しないよう警戒を強めている。

 「特に雇用問題について重大な注意を払い、大規模リストラの発生を防ぐ」

 中国メディアによると、習近平国家主席は10日に北京市内を視察した際、新型肺炎による雇用情勢の悪化を防ぐ方針を示した。新型肺炎により比較的大きな影響を受けた企業には、雇用や金融などの面で支援を行う考えを強調している。

 中国政府は、早い段階から雇用対策を重視する姿勢を見せている。人事社会保障省は1月24日、新型肺炎の患者や、感染が疑われる人などが隔離措置のため勤務できない場合でも、給料を支払うよう企業に求める通知を出した。その中で、新型肺炎の影響で生産や経営が苦しくなったとしても、給与額の調整や交代勤務などにより、できるだけリストラを行わないよう要請している。

 こうした方針を受け、地方政府も相次いで雇用対策に乗り出した。上海市は今月3日、リストラを実施しないといった条件に適合した企業に対して、前年度に納付した失業保険料総額の50%を返還する措置を継続すると表明。また、休業中にインターネットで従業員への教育を行う場合には費用を補助する。

 北京市も5日、従業員の解雇が少ないなどの条件を満たした中小零細企業に対して、賃料の免除などを行うという支援措置を表明している。中国メディアによると、雇用支援策は各地でも打ち出されている。

 現在、さらなる感染拡大を防ぐため、中国各地で企業活動が大幅な制限を受けている。その結果、長期間にわたって休業を余儀なくされている企業が多く、特に経営体力に乏しい飲食店など中小零細企業への影響が懸念されている。

 こうした事態がさらに長期化すれば大規模なリストラが現実のものとなる恐れがあり、習指導部は社会不安を防ぐため、今後も雇用対策を強化するとみられる。



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