【ワシントン=塩原永久】米通商代表部(USTR)は14日、航空機メーカーへの補助金問題をめぐって欧州連合(EU)に発動した追加関税を、3月18日に強化すると発表した。輸入する航空機に上乗せした追加関税を10%から15%に引き上げる。欧州エアバスに補助金を投じるEUへの圧力を強める狙いだが、米欧の貿易摩擦が一段と激しくなる恐れがある。
昨年10月に発動した対EU関税について、USTRは、EU側に問題解決に向けた進展がなければ追加措置を検討すると表明していた。ただ今回、大幅な関税引き上げは回避し、航空機の完成品に限った関税強化を決めた。
USTRはEUと交渉を通じた解決を探る姿勢を残す一方、EUが今回の関税引き上げに対抗措置を講じれば、さらなる関税強化を検討する構えだ。
USTRは昨年10月、エアバス補助金が不当だとして世界貿易機関(WTO)が対EU報復関税を承認したため、EUからの最大約75億ドル(約8200億円)分の輸入品に追加関税を適用。航空機に10%、ワインなどの農産品や工業製品に25%を上乗せしていた。
一方、WTOは米国による航空機大手ボーイングへの補助金もWTO協定違反だと認定しており、EUも米国への報復関税を辞さない構えだ。