就職活動が本格化する3月を前に、新型コロナウイルスによる肺炎が国内で広がる中、パソコンなどを使ったオンライン面接のサービスに注目が集まっている。2月に入って問い合わせ件数は例年よりも3割程度増加。新型肺炎対策だけでなく学生の機会損失を減らせるほか、企業側も優秀な学生との接点を増やせるメリットがあり、導入検討の動きが広まっている。
令和3年春入社の学生を対象にした企業の会社説明会は3月に解禁されるが、今回は新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、例年のように学生を特定の会場などに集めた採用活動ができるかは不透明だ。面接官や学生にマスクを配ったり、グループ面接の中止を検討したりする企業もあるが、対策には限界がある。
こうした中で浮上しているのが、学生が自宅などに居ながら面接ができるオンライン面接の導入。1100社以上に同サービスを提供するスタジアム(東京都港区)では、学生が志望企業にエントリーすると、企業側から日程調整のメールが送られ、指定されたURLにパソコンなどでアクセスすれば、画面上で面接が可能になるという。
担当者によると、本人の志望動機や考え方など通常の面接で確認する一般的な事項は把握でき、「分からないのは身長とにおいくらい」だという。多少の発熱程度なら自宅で面接が受けられるため、面接機会を失うリスクが減らせるほか、交通費や宿泊費が不要となることで、地方の優秀な学生を獲得できるといった企業側のメリットもある。
同社が新型肺炎と採用について実施したアンケートでは、回答企業の過半数がすでに影響を受けているか、または今後の影響を懸念していた。今春入社予定の中国人留学生が、中国国内の大学閉鎖で卒業証明が取得できず、就労ビザが申請できないといった事案も生じていたという。(蕎麦谷里志)