【香港=藤本欣也】横浜に寄港したクルーズ船で新型コロナウイルスの集団感染が起きた問題で、香港政府は17日、乗船している香港住民約350人をチャーター機で20日に帰還させると発表した。香港到着後、住民らは2週間強制隔離されるが、政府はその隔離先をどうするかで頭を悩ませている。もともと面積が狭く利用可能な施設が限られる上、政府が隔離施設として予定している場所で反対運動が起きているためだ。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」をめぐっては、香港でも乗客らの窮状について連日報じられており、政府がようやく支援に乗り出した形だ。
だが、肝心の隔離施設が不足している。香港メディアによると、16日現在、利用できるのは約100戸。2月中に新たに90戸が整備される予定だが、20日の帰還には間に合わない。
このため政府は、新界地区にある未入居の公営住宅のうち数百戸分を利用するとみられている。しかし付近住民らの反対運動が盛んだ。昨年から反政府デモを続ける若者らが合流したためで、隔離を強行すれば激化する可能性もある。
隔離施設の利用予定者はこれだけではない。新型コロナウイルスによる肺炎が発生した中国湖北省には今も、約2200人の香港住民が取り残されており、帰還に向けた準備が進む。
政府は休園中の香港ディズニーランドの近くに大規模な隔離施設を建設する計画で、まさに時間との戦いになっている。