19日から3日間の予定で乗客の下船が始まったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。不自由な待機生活は約2週間に及んだ。日ごとに増える感染者と「空室」の表示。まだ船内に残る札幌市の男性(70)は「長かった。感染への恐怖との闘いだった」と振り返った。
車いす姿の高齢者、日の丸の旗を振る人…。男性はこの日、居室から下船する乗客の様子を見守った。地上に降りるのは1日に寄港した沖縄県以来で、下船客は一様に安堵の表情を浮かべていたという。
この14日間、日に日に感染者が増えていった。デッキでの運動のため居室から廊下に出ると、陽性が確認されたのか、前日まで乗客がいたはずの客室に「空室」の表示。男性も自室のドアがノックされるたびに「陽性の知らせでは」と、びくびくしながら過ごしたと語った。