「この豚! 誰が面倒見てやってると思ってるんだ!」妻の不倫をきっかけにモラハラ夫になってしまった男が気づいた“毒親の呪い”


『「毒親の連鎖」は止められる トラウマの呪縛を克服した10人のケース』#1

【画像】毒父から受けた「デッドキャッチボール」

『「毒親の連鎖」は止められる トラウマの呪縛を克服した10人のケース』より、一部抜粋、再構成してお届けする。

「どうしてわかってくれないんだ!」

「当時は仕事が忙しくて妻と会話らしい会話もままならず、たまのコミュニケーションも上手くできていなかったという負い目はありました。でも、結婚式を挙げた直後のタイミングでの不倫発覚は、私にとってものすごくショックな出来事でした……」

2人は何度も話し合い、妻の方にも事情があったということを理解した中村さんは、今回の不倫については水に流し、「またお互い信用を構築し直していこう」というところに落ち着いた。

しかし、「不倫された」という事実はなかなか忘れられるものではない。つらい気持ちが上手く消化できず、それは日に日に大きくなっていった。

それからだった。

気がつけば中村さんは、「モラルハラスメント」をするようになってしまっていた。

「世間一般で『モラハラ』と呼ばれる行為には様々なものがありますが、私は、無視、大声で怒鳴る、物に当たる、相手の価値観や能力の否定、相手に自分が悪いと思わせる……といった行為をしてしまっていました」

民法では不貞行為の時効は3年。これを過ぎると不倫相手への慰謝料の請求は難しくなる。だから逆に、「3年経ったら本当の意味で水に流せる」。そんなことを考えていたと中村さんは言う。

そして不倫発覚からあと少しで3年という頃、運命の日は訪れた。中村さんは妻との意見の食い違いから口論になり、爆発。

「どうしてわかってくれないんだ!!!!」

あらん限りの声で叫び、鬼の形相で本棚の本をぶちまけていた。我に返ったときには既に遅く、怯えきった妻はそのまま実家に帰ってしまう。残された中村さんは激しい後悔に襲われた。

数日後、妻に連絡すると、妻は地域の女性センターに相談に行ったという。「DV加害者プログラム」というものを紹介されたため、「そこに通ってほしい」と言う。

中村さんは藁にもすがる思いで、勧められた「DV加害者プログラム」に通い始めた。それは、中村さんがモラルハラスメントをしてしまう一因が自分の原家族(生まれ育った家族)にあることを知るきっかけとなる第一歩だった――。



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