(1)「しつけ超えていた」涙声で謝罪も…罪状の事実関係は細かく認否…に戻る
《千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が自宅浴室で死亡した虐待事件。傷害致死罪や心愛さんの母(33)への暴行などの罪に問われた父親の勇一郎被告(42)への初公判が続く》
《罪状認否では6件の起訴内容について1件ずつ確認。勇一郎被告は「罪については争いません」としながらも、行為や経緯については一つ一つ、細かく否認を主張した。後半は続いて検察側の冒頭陳述に移る》
《初めに、検察官は事件に至るまでの流れを説明していく。勇一郎被告は、妻と別居後に一度離婚しており、心愛さんとは約8年間一緒に暮らしていなかったという》
検察官「再婚して間もなく次女が生まれると、被告人は次女に愛情を注ぐ一方、自分と離れて生活し、成長していた心愛さんをうとましく思うようになりました。自分の思い通りにならないと気が済まず、頑固で自己主張が強い被告人が、育児のストレスのはけ口として、心愛さんに繰り返し虐待をして、心愛さんを死なせたという事件です」
《検察官は、勇一郎被告の家族や親族について説明する。勇一郎被告は妻と心愛さん、次女の4人家族。検察官によると、妻は傷害幇助罪で、既に懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年の罪が確定しており、今後の法廷で証人として出廷予定という。妻の実家は沖縄県にあるが、事件当時は疎遠状態。勇一郎被告の実家は野田市内にあり、心愛さんが一時生活することもあった》
検察官「平成20年、被告人は妻と結婚し、心愛さんが生まれます。しかし間もなく別居するようになり、23年に離婚が成立します。28年には妻の側から連絡を取ったことがきっかけでまた同居するようになりました」
検察官「29年に再婚し、次女が生まれました。妻を沖縄に残し、心愛さんと次女を連れて野田市に転居しました。虐待はこの頃から始まりました」
《自席でじっと検察官の冒頭陳述を聞く勇一郎被告。背筋をピンと伸ばし、身じろぎもしなかったが、家族のこれまでの歴史について話が及ぶと何度もハンカチで涙をぬぐい、はなをすすり上げた》