日経エンタテインメント誌(平成27年11月号)が集計した全国の映画ロケ地誘致ランキングによると、県内では流山市フィルムコミッション(以下FC)が、全国6位に入っている。23年に公開された映画「ステキな金縛り」(三谷幸喜監督、興業収入43億円)や25年公開の「ストロベリーナイト」(佐藤祐市監督、同22億円)などが同市で撮影された。また、流山市以外でも、30年に邦画最高の興行収入92億円を上げた「劇場版コード・ブルー」が、日本医大千葉北総病院(印西市)や神田外語大学(千葉市)、成田空港など県内各地でロケを行ったのは有名な話だ。
冒頭の集計で全国のトップは、茨城県が運営する「いばらきFC」だった。ホームページによると、30年度のロケ誘致数は606件(前年度比15%増)で、活動を始めた14年度からの累計では6500件にも上るという。茨城では、何がそんなに多くのロケ隊をひきつけるのであろうか?
茨城県の地域ブランド順位(ブランド総合研究所調べ)は令和元年まで6年連続で全国47位だ。すなわち茨城県は、全体としては観光資源が豊かでなく、そのことが、危機感を通じて、ロケ地誘致の努力につながっていると考えられる。
同FCでは、単にロケ地を映画やドラマの制作者に売り込むのではなく、制作者から細かな要望を聞き出し、できる限り要望に沿うロケーションを探した上で、現地のFCや自治体、組織体、警察などの関係者との間でギリギリの調整を行い、撮影を実現するというスタンスで臨んでいることが、制作サイドから高い評価を受けている。全国トップは熱意ときめ細かな対応のたまものだ。