15回目を迎えた「竹島の日」の式典には今年も閣僚の姿はなかった。「いつになったら大臣が来るんだ」。式典の最中には政府の対応を批判するやじが飛び、竹島問題解決に進展がないことへの地元のいらだちが噴出した。
「政務官じゃ、頼りないぞ!」。政府を代表して式典に出席した藤原崇内閣府政務官があいさつに臨むと厳しいやじが飛んだ。藤原氏が「平成24年12月の(第2次)安倍(晋三)政権発足とともに歴代内閣で初めて領土問題担当相が置かれた」と説明すると、男性から「そいつが来いよ!」と怒声が上がった。
今回の式典には藤原氏のほか12人の国会議員も出席したが、地元では閣僚の出席を求める声が以前から根強い。今年は衛藤晟一領土問題担当相の出席も検討されたが、最終的には見送られた。菅義偉(すがよしひで)(すが・よしひで)官房長官は21日の記者会見で「政府内で諸般の事情を検討した結果だ」と述べるにとどめた。
島根県警は「日韓関係悪化など諸事情を考慮した」として、広島、岡山、山口、徳島の4県警から応援を受け、過去最多の約800人態勢で会場周辺の警備にあたった。しかし、この日は右翼団体が領有権を主張する街宣活動を行ったものの、目立ったトラブルはなかった。例年、韓国人活動家も会場周辺で抗議活動を行っていたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を理由に来日しなかったもようだ。
「日本政府は、わが国の立場を積極的に国際社会に発信することを強く求める」。島根県議会の中村芳信議長はあいさつでこう述べ、政府の強いリーダーシップを求めた。韓国が竹島の不法占拠を始めて60年以上がたつ。わが国固有の領土を取り戻すため、政府のより一層強い対応が求められている。(大島悠亮)