大阪市を廃止して4特別区に再編する大阪都構想が実現した場合、新たに誕生する特別区の「中央区」と「北区」について、名称が同じになる東京都中央区と北区が、「混乱する恐れがある」などと大阪府市側に再考を求めている。ただ、同一の自治体名を禁じる法律はなく、大阪府の吉村洋文知事は「使用に問題はない」ときっぱり。想定される混乱が不明確で、大阪側からは「言いがかりだ」と批判する声も上がる。
「混同するかねえ…」
大阪市の松井一郎市長は20日の記者会見でこうつぶやき、「中央も北も方位を表す固有名詞。東京都の使用が優先されるのは違う」と苦言を呈した。
そもそもなぜ、東京の2区がこうした懸念を伝える事態になったのか。
それは自治体の名称をめぐる国の通知が原因だ。昭和45年に旧自治省が出した通知では、新しく市になる自治体の名称は、既存の市と同じか似たものにならないよう配慮を求めている。
特別区は行政区とは違い選挙で選ばれる首長や議員がいる独立した基礎自治体。このため府市の事務局は特別区でも市と同様の配慮が必要と判断し、東京側に1月、同一名称の使用について意見を求めていた。
これに対し、東京の2区が難色を示したというわけだ。東京都中央区は、行政文書や住所表記に混乱が生じる可能性を指摘し、極力避けてほしい意向を府市に伝達。北区は「基礎自治体としての北区は本区唯一であることを希望する」と再考を要望している。