日本レコード協会が発表した昨年国内で発売された新作CDなどの数は、1万1149点。前年より14%減ったが、それでも1万超の新しい音楽作品が世に出た。さて、今年はどうなるのかと2月の新作を見渡せば、企画ものなどユニークな作品がめじろ押しだ。(石井健)
「映画ドラえもん うたの大全集」(26日発売)は、「ドラえもん」が昨年、漫画連載開始から50年を迎え、3月に通算40作目の「映画ドラえもん のび太の新恐竜」が公開されるのを記念した企画作。39の長編と14の短編映画の主題歌、挿入歌82曲を4枚組のCDに収めた。大山のぶ代の「ぼくドラえもん」から平井堅、星野源らが手掛けた最近の歌まで網羅。市民権を得て、さらに時代の先端に飛び出す。そんなアニメ主題歌の歴史の縮図でもある。
堀江美都子「One Voice」は、昨年のデビュー50周年の記念作。今のアニメ歌手はアイドル以上の人気を誇るが、そうした存在の最初が、ドラえもんと同期のこの人だろう。1千曲以上の持ち歌があるが、今回はRADWIMPS、ポルノグラフィティらが手掛けたアニメ主題歌、挿入歌10曲をカバー。“アニメ専業歌手”としての誇りをかけ、自身の色に染めて歌い上げる。
美声衰えぬ堀江だが、この人も同様。「薬師丸ひろ子 2019コンサート」は、昨年10月の公演の実況録音盤。出演作の主題歌など7曲を立て続けに披露する終盤が聴きもの。「戦士の休息」「守ってあげたい」も自身で歌う。公演の映像作品の副次的商品だが、この女優の美声は音源だけでも十分に堪能できる。
野村義男は薬師丸とほぼ同時期にアイドルで世に出て、ギター奏者に転身した。「440Hz with〈LIFE OF JOY〉」は、ここ7年の録音をまとめた。Char、世良公則(せら・まさのり)、近藤真彦ら多彩な音楽家、仲間とともにハードロックからハワイアンまで幅広い音楽を聴かせる。個人の名義で出す作品は24年ぶり。55歳だ。一つの節目か。