9月4日、ご自身が総裁を務められている日本工芸会とNHKなどが主催する「日本伝統工芸展」をご覧になった秋篠宮家の佳子さま。会場では、自ら選定した日本工芸会総裁賞の作品について、作家から熱心に説明を受け、「とても美しい魅力的な作品だと思いました」と感想を伝えられました。このお言葉は、日本の豊かな伝統文化への深い敬意と愛情を示すもので、皇室ジャーナリストもそのご姿勢に注目しています。
伝統工芸に捧げる佳子さまの情熱:就任以来の取り組み
佳子さまは2022年、姉の小室眞子さんの後任として日本工芸会総裁に就任されて以来、その役割を非常に積極的に果たされてきました。特に印象的なのは、地方ご訪問の際に、その地域の伝統工芸品を身につけられていることです。2024年頃からは、そのご着用されたアクセサリーが瞬く間に完売する「佳子さま売れ」という現象が広く報じられるようになりました。このことは、ご自身の影響力を深く理解された上で、それを活用して地域経済、特に伝統工芸の振興を強く願う佳子さまのお気持ちの表れとされています。このようなご活動は、単なるファッションの枠を超え、日本の貴重な文化遺産を次世代に繋ぐための重要な一歩となっています。
1年間で話題となった佳子さまご着用アクセサリーの軌跡
この1年間で、佳子さまがご着用になり、多くの注目を集めた伝統工芸品の中から、特に話題となったアクセサリーを振り返ります。
鳥取ご訪問:寄木細工のバレッタとイヤリング (2024年9月)
2024年9月、手話パフォーマンス甲子園にご出席のため鳥取県を訪問された際、佳子さまは鳥取県日野郡にある工房「白谷工房」の寄木細工のアクセサリーをお選びになりました。民家の解体木材や建築現場の端材を再利用して製作されたもので、WEBサイトによるとバレッタは4,400円、イヤリングは5,500円でした。佳子さまのご着用が報じられると、通常の約20倍もの注文が殺到し、大きな反響を呼びました。このイヤリングは、2025年2月の鴨場接待の際にも再びご愛用されています。
鳥取訪問で寄木細工のバレッタとイヤリングを着用された佳子さま
佐賀ご訪問:有田焼のイヤリング (2024年10月)
2024年10月、国民スポーツ大会のため佐賀県を訪問された佳子さまは、有田焼のイヤリングを身につけられました。柔らかな色合いの白い磁器に、伝統技法である“染錦”で赤いバラが繊細に描かれたこのイヤリングは、訪問地である有田町に工房を構える「器とデザイン」が販売しています。価格は5,940円で、職人が一点一点手書きで絵付けしており、オンラインショップでも購入可能です。手作りのため元々在庫数は多くありませんでしたが、ご着用報道後には即日完売となりました。このイヤリングは、2025年3月の「なるほど展」ご視察時や、6月のブラジルご訪問時にも愛用されています。
岐阜ご訪問:美濃焼のイヤリング (2024年10月)
2024年10月、岐阜県で開催された国際陶磁器フェスティバル美濃の開会式にご出席された際、佳子さまは水色のツイードジャケットとパンツのセットアップに、深い藍色のイヤリングを合わせられました。この上品な美濃焼陶磁器のイヤリングは、藍色に金箔が散りばめられたデザインが特徴で、岐阜県の陶器アクセサリーブランド「MIKELO」のものです。オンラインショップでの価格は2,640円。ご着用後、SNSなどで情報が拡散され、通常の50倍もの売り上げを記録したと報じられています。
佐賀ご訪問:肥前びーどろのイヤリング (2024年10月)
同じく2024年10月、全国障害者スポーツ大会のため佐賀県を訪問された佳子さまは、佐賀市重要無形文化財に指定されている「肥前びーどろ」のイヤリングをご着用になりました。このイヤリングは8,800円で、佐賀の伝統技術が光る逸品として注目を集めました。
石川ご訪問:輪島塗のバレッタとイヤリング (2024年10月)
2024年10月、第71回日本伝統工芸展金沢展をご覧になり、輪島市の漆芸家らと懇談された佳子さま。この時身につけられていたバレッタとイヤリングは、輪島塗の商品を手掛ける「八井浄漆器本店」のものです。バレッタは30,800円、イヤリングは39,600円と高価ながら、ご着用直後にはどちらも売り切れとなりました。能登半島地震で輪島市の店舗は全壊しましたが、2025年8月から避難先の金沢市に店を移し、再開を果たしています。
石川ご訪問:輪島塗のイヤリング (2025年4月)
2025年4月、石川県立輪島漆芸技術研修所を訪問され、漆芸家と懇談された佳子さま。この時ご着用になったのは、「和ふら」というブランドの水色のうるし珠イヤリングです。石川県伝統の輪島塗をより身近で気軽に楽しめるようにという職人の思いから誕生したアクセサリーで、価格は5,500円でした。
岐阜ご訪問:美濃焼のイヤリング (2025年5月)
2025年5月、全国都市緑化祭の記念式典にご出席のため岐阜を訪問された際も、佳子さまは異なる美濃焼のイヤリングをお選びになりました。多治見市でタイルのアクセサリーを手掛ける「七窯社」のもので、初日は「くるり」(3,300円)、翌日は「優花」(4,950円)と、2日連続で同ブランドの商品を着用されました。ご着用直後、前年1年間の売り上げの5倍もの注文が殺到し、現在では予約商品となっています。
ブラジルご訪問:輪島塗のイヤリング (2025年6月)
外国ご訪問の際にも、伝統工芸へのお気遣いを欠かされない佳子さま。2025年6月のブラジルご訪問時には、4月に着用されたものと色違いの「和ふら」の5,500円のイヤリングを身につけられました。このイヤリングは、2025年8月の万博ご視察時にも再びご愛用されています。
広島ご訪問:トーホービーズのイヤリング (2025年8月)
戦後80年に合わせて、紀子さまと私的に広島をご訪問された佳子さまは、「EARTH Hiroshima」というブランドの、広島の名産であるトーホービーズを用いたイヤリングをお召しになっていました。価格は3,080円。ブランドの公式X(旧Twitter)では、「今までにない、注文数でしたので驚いています」「広島のモノづくりをさりげない形で伝えてくださる皇族の方々には感謝の気持ちでいっぱいです」と綴られており、その影響力の大きさがうかがえます。
伝統文化を未来へ繋ぐ佳子さまのご貢献
佳子さまのこうしたご活動は、単にアクセサリーを身につけるという行為に留まらず、日本の伝統工芸品が持つ美しさ、職人たちの熟練の技、そしてそれぞれの地域が育んできた文化的な価値に、国民の目を向けさせる大きなきっかけとなっています。「佳子さま売れ」という現象は、伝統工芸品が現代の生活に溶け込み、新たな魅力を放つ可能性を示唆しています。佳子さまの地域文化に対する深いご理解と、それを積極的に支援しようとするお気持ちが、多くの人々の心に響き、日本の伝統文化を未来へと繋ぐ貴重な貢献となっていることは間違いありません。