「アラブの春」遠く…強権に回帰したエジプト ムバラク氏死去





2011年2月10日、大統領を辞任する直前に演説したときのムバラク氏(ロイター)

 【カイロ=佐藤貴生】約30年間にわたりエジプトで独裁体制を敷いて君臨したムバラク元大統領(91)が死去した。同氏の政治生命を絶った2011年の民主化要求デモ「アラブの春」は中東一帯を飲み込む大きなうねりとなったが、各国ではその後、イスラム勢力や過激派の台頭により混乱。民衆が求めた民主化の夢はなおかなわず、むしろ遠のいているのが現実だ。

 チュニジアで失業中の青年が焼身自殺したことに端を発する「アラブの春」では、各国の混乱に乗じてスンニ派過激組織「イスラム国」(IS)など過激派が跋扈する事態も招いた。そのためエジプトやトルコなどは強権に傾き、シリアやリビアでは泥沼の内戦が続いている。

 エジプトではムバラク氏退陣後の12年、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」出身のモルシー氏が選挙で勝利し、大統領に就任した。しかし、停電やガソリン不足が日常化して13年には数百万人規模の反政府デモへと発展。シーシー国防相(当時)率いる軍部が介入、政権は崩壊した。

 14年の選挙を経て大統領に就任したシーシー氏は、IS掃討継続の必要性などを理由に憲法を改正、最長で30年までの続投を可能にした。反体制派やメディアの締め付けが強まり、過激派掃討という名目を踏み越えた人権侵害が進んでいるとの指摘もある。

 エジプト大統領府や軍はムバラク氏の死去を受け、「戦争の英雄」などとたたえて弔意を表した。空軍司令官時代の1973年、イスラエルとの第4次中東戦争で活躍した経歴などを称賛したとみられるが、軍出身者による統治というエジプトの従来の体制に回帰したことを象徴している。



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