千葉県野田市で昨年1月、小学4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待して死亡させたとして、傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判第3回公判が26日、千葉地裁(前田巌裁判長)であり、心愛さんの母親(33)=傷害幇助(ほうじょ)罪で有罪確定=の証人尋問が行われた。証人尋問は母親がいる別室と法廷を映像、音声でつなぐビデオリンク方式で実施された。主な内容は次の通り。
【実家での心愛さん】
母親 平成29年7月末、心愛は勇一郎と先に沖縄県から野田市に引っ越して実家で生活していた。私が野田に来てから実家での生活を聞くと「毎日地獄だったよ」と話した。心愛が同居していた勇一郎の妹に「パパに夜中に蹴られた」と訴えたが勇一郎は「心愛の言うことを信じるのか」と言い、結局心愛が悪者にされたと聞き、ショックだった。
【いじめアンケート】
母親 11月5日、自宅で心愛に「夜中にパパにたたかれる」と打ち明けられた。翌6日、心愛が学校から帰ると「今日、学校でパパのことをアンケートに書いた」と言っていた。7日に県柏児童相談所に一時保護されたが、家にいると心愛を守れないので、正直ほっとした。
【児相職員宛ての手紙】
母親 勇一郎は一時保護解除後も実家を訪ねる児相職員に不満を持っていた。30年2月24日、自宅で心愛に「お父さんにたたかれたというのはうそです」と児相職員宛てに書かせた。勇一郎は考えた文案を無料通信アプリ「LINE(ライン)」で私に送り、私も「了解。みーちゃんにちゃんと書かせるからね」と返信した。
【あざ隠すために欠席】
母親 7月ごろからほぼ毎日、勇一郎は心愛に長時間屈伸や正座をさせ、暴力もあったと思う。心愛の体のあざを隠すため、学校を休ませた。勇一郎は、あざは心愛が暴れてできたと言っていた。
【死亡直前の年末年始】
母親 勇一郎は心愛に対する嫌がらせで、経済的余裕はないのに、心愛以外の家族3人で31年年始に旅行を計画していた。だが実家の家族が心愛を残すことに反対した上、年末からの虐待で心愛を外に出せず、旅行は直前で中止になった。
1月1日、勇一郎が心愛を虐待するのを止めようとしたが、私も暴力を受けた。警察に通報しようと家を出たが、自宅に残した心愛と次女が心配で通報せずに戻った。
【LINEで加担】
母親 7日に小学校の冬休みは終わったが、あざがあったので学校に行かせず、寝室に閉じ込めた。飲み物や甘いものをねだる心愛について、勇一郎にラインで「お前何様なんだよ。むかつくね」と送った。毎日のように心愛を虐待する勇一郎にストレスがたまり、心愛に向けてしまった。とても後悔している。