一斉休校要請 感染封じ込めに向け異例の政治決断





新型コロナウイルス感染症対策本部会合を終え、首相官邸を出る安倍首相。全国の小中高校や特別支援学校を臨時休校にするよう要請した=27日午後

 政府が27日に全国すべての小中高校などに臨時休校を要請したのは、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるために国民全体での協力が欠かせないと判断したためだ。「これから1~2週間が急速な拡大か収束かの瀬戸際」という政府の専門家会議の指摘を受けた異例の政治決断だが、国民生活の混乱は避けられず、徹底した説明責任が求められる。

 国内の感染者210人(27日現在、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客らを除く)のうち、20歳未満は7人にとどまる。それでも、安倍晋三首相は27日の新型コロナウイルス感染症対策本部会合で「患者クラスター(集団)が次のクラスターを生み出すことを防止することが極めて重要で、徹底した対策を講じるべきだ」と強調した。

 文部科学省は25日、同じ市町村の学校で複数の感染者が確認された場合、感染者がいない学校も含め市町村単位で休校などを検討するよう求めた。これを受け、感染者が急増した北海道などが一斉休校に踏み切った。

 しかし、感染経路が特定できないケースは全国で広がる。政府関係者は27日夜、「北海道の休校で学校側から問い合わせが来ていた」と明かした。このため集団感染の温床となりうる学校を全国レベルで封じる異例の対応に乗り出した。

 一方、子育てと仕事を両立する保護者や、学校の臨時休校に伴い欠勤者の増加が見込まれる企業の負担増は避けられない。首相は「政府として責任を持って対応する」と語ったが、具体策は不透明だ。早くも「感染者が出ていない地域まで休校にする必要はなく過剰反応」(元文科相の中山成彬衆院議員)との批判が出ている。

 保育園や放課後児童クラブ(学童保育)を原則開所する方針は働く保護者への配慮だが、感染を防ぐ観点からみれば整合性に欠ける印象を受ける。幼稚園や部活動などの扱いに関する説明もない。首相には、政府の統一した方針と丁寧な説明が求められる。(小川真由美、水内茂幸)



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