休校要請「理解」「唐突」…与野党に波紋　蓮舫氏は撤回要求

　新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相が全国の小中高校などの休校を要請したことへの波紋が２８日、与野党にも広がった。与党からは、理解だけでなく、要請が全国一律であることや、欠勤を余儀なくされる保護者らへの詳細な支援策が示されなかったことへの懸念もあがった。主要野党からは、要請の撤回要求も出ている。

　自民党の二階俊博幹事長は２８日、記者団に「適切な判断だった」と強調した。岸田文雄政調会長も、休校措置について「ここ２週間が極めて重要との認識のもと、やれることは全てやるとの思いでギリギリの判断をした」と理解を示した。

　ただ、岸田氏は「唐突感は否めない」とも指摘。「国民の立場に立って、しっかりとした対応を迅速に打ち出すことが求められている」とクギを刺した。

　公明党の斉藤鉄夫幹事長も、感染拡大防止に「重要な時期」と理解を示しつつ、政府からの連絡が首相が表明する直前だったことを明かし、「与党に相談があってしかるべきだ」と苦言を呈した。

　自民党が同日、党本部で開いた緊急部会でも「自治体は対応できるのか」といった疑問の声が相次いだ。

　出席した柴山昌彦前文部科学相は、萩生田光一文科相が同日、休校の期間や形態について各教育委員会の判断に委ねて柔軟に対応していく方針を示したことに触れ「（関係者が）具体的な対応を決めるのは日程的に厳しい」と懸念を示した。党内には「休校を求めながら学童保育（放課後児童クラブ）を開くのは、感染防止の観点から疑問」と整合性を問う声もあがる。

　野党でも評価は分かれている。立憲民主党の蓮舫副代表は記者団に「こんなめちゃめちゃなリーダーシップはない。すぐ撤回すべきだ」と批判した。

　一方、国民民主党の玉木雄一郎代表は２８日、首相や菅義偉（すが・よしひで）官房長官と電話し、保護者への休業補償や緊急経済対策の実施など、党の対策案を申し入れた。首相は「やらせてもらう」と応じたという。玉木氏は記者団に「混乱を最小にする手立てを野党としても提案する」と述べた。（長嶋雅子、千葉倫之）