念願のミステリー作品での主演だ。
「ミステリーはやはり謎解きが大好きなんです。いろんな登場人物がみんな怪しくて。自分ではちゃんと解けたことはないんですが、ずっとモヤモヤが続いていたのが、謎解きの瞬間にスッキリする感じ。達成感や爽快感があって」
ドラマで見せるのと寸分変わらない満面の笑みで話す。今回の主演作品の原作(大山誠一郎作)も「面白くて一気に読んだ」という。ただそのミステリーを演じるとなると「謎解きは一番大事なシーン。強調しなきゃいけない情報もあるし、そこに至るまでの情報を取りこぼさないよう、いろんな人の話を聞いてなくちゃならない。気を抜けない感じがあります」と、大変さも感じている。
演じる美谷時乃は「アリバイ崩しになると、不器用なぐらいに集中するので、かわいいなと思いながら演じています。普段の社交的なところは見習いたい部分もありますね」と評する。
共演陣はベテランを含め、先輩ぞろいだ。「皆さん優しい」とはいうが、そろいもそろって、ひとクセもふたクセもある男性俳優陣。年代も違うからか、「和気あいあいですが、その雰囲気に最初はついていけなくて」と苦笑。それでも、あるシーンで追加の撮影をする際、勝村政信から、「このときは時乃ちゃんはこっちの感じでいくと面白いよ」とアドバイスを受けた。後で安田顕からは、「時乃ちゃんのあの芝居があったから、他の芝居も成立したよ。やってよかったね」といわれたといい、「勉強になることも本当に多くて、私としてもうれしいシーンでした」と共演陣に感謝する。特に共演シーンの多い安田は「安心感のある大先輩」といい、成田凌は「お兄さんみたいな感じで、安田さんとは違う笑いもくれる。本当に引き出しの多い人」と話す。
アリバイトリックや、その解き明かし方が見ものの各話。6話では「すごく凝ったトリックになっていて。考え出すとなかなか止まらないような、案外ダークになっていますよ」とその一端を明かす。スペシャルゲストの木村カエラは「小さい頃から見ていた人なので、こんな形でお会いできるのが楽しみ」とまた笑顔を見せる。その笑顔を見ると、アリバイトリックを解く姿が、視聴者にとっても、週末のまたとない楽しみとなっていると確信する。(文化部 兼松康)
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はまべ・みなみ 平成12年生まれ、石川県出身。23年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞し、芸能界入り。29年の映画「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」で、第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。テレビドラマではTBS系「賭ケグルイ」などでも主演。年内に公開予定の映画「約束のネバーランド」では、エマ役での主演が決定している。