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【ソウル=桜井紀雄】韓国で新型コロナウイルスの感染者が2月29日に3千人を超えるなど、中国を上回るペースで急増する中、韓国人の入国を規制する国も増えている。中でも発生国であるはずの中国の各地で渡航した韓国人を隔離するといった厳しい措置が取られたことに韓国世論の不満が噴出。批判の矛先は、中国に低姿勢を貫いてきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領に向けられている。
韓国外務省によると、韓国人の入国を禁じたり、入国手続きを強化したりした国や地域は70以上に上る。29日には、ベトナム・ハノイの空港に向かっていた韓国機の着陸が突然、不許可になり、韓国に引き返す事態も起きた。
韓国内で強い反感を買ったのが、中国各地で行われている空港に到着した韓国人らをホテルなどに14日間隔離する措置だ。上海市のほか、山東省や遼寧省、吉林省など少なくとも8省で確認され、中国に居住する韓国人宅の玄関扉に赤い紙を貼って自由な出入りを阻む地域も報告されている。
「行き過ぎた措置」に対し、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相が26日に中国の王毅外相に電話で懸念を伝えたが、中国側は、中央政府の決定ではなく、韓国人だけを対象にした措置でもないとの立場だ。中国紙、環球時報は社説で、隔離措置に関して「外交問題ではなく、より重要な防疫の問題だ」と主張。中国ではむしろ、韓国の防疫体制を不安視する声がネットで広まっている。
韓国では当初、3月の新学期に合わせて訪韓する中国人留学生への対処が課題とみられてきた。だが、最近は逆に韓国での感染者急増を心配して急遽(きゅうきょ)、中国に帰国したり、訪韓を見合わせたりする中国人留学生が増えたという。中韓教育当局は28日、自国の留学生に、双方の国への渡航自粛を求めることで合意した。
防疫行政を統括する朴凌厚(パク・ヌンフ)保健福祉相が、感染拡大の最大の原因は「中国から帰国した韓国人」にあると中国を擁護するような認識を示したこともあり、中国の顔色をうかがって中国全域からの入国を禁じなかったことが感染拡大を招いたとの文政権への批判が保守層を中心に巻き起こった。
文氏と与野党代表の28日の会合でも最大野党「未来統合党」の黄教安(ファン・ギョアン)代表が中国人全面入国禁止を改めて迫った。文氏は2月初めから入国管理を厳格化し、新規入国した中国人の感染は確認されていないと説明。全面入国禁止は実効性が乏しく、「不可能で実益もない」と反論した。
ただ、感染者の急増が日々報じられる一方、政府が公共のルートでの販売を約束したマスクもなかなか手に入らない現状に、国民はいらだちを募らせている。
国民からの請願を受け付ける大統領府ホームページの掲示板には、中国からの入国を禁じなかった文氏について「韓国の大統領ではなく、中国の大統領のようだ」と記し、大統領弾劾を求める請願が投稿され、29日現在、130万人を超える賛同が寄せられた。賛同が20万人を超えると、大統領府が回答する必要がある。支持者からとみられる大統領への応援を促す請願も登場し、約110万人が賛同した。
文氏の元側近で家族ぐるみの不正疑惑で在宅起訴されたチョ・グク被告の法相任命問題で分裂した世論の対立は、新型ウイルスという目に見えない脅威を前に一層深まっているようだ。
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