加藤勝信厚生労働相は2日の参院予算委員会で、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大を受けた臨時休校に関し、小学生などの子供を持つ保護者が仕事を休んだ場合に賃金を日額8330円を上限に助成する制度を創設すると明らかにした。安倍晋三首相は「緊急事態宣言」を実施する可能性に言及し、法整備として新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を検討すると明言した。
厚労省が創設する制度は2月27日~3月31日の間、従業員に年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた企業に助成金を出す。幼稚園や保育所、小学校、特別支援学校などに通う子供が対象になる。
加藤氏は予算委で「上限はあるが、(企業が支払う)賃金の10割を助成する。非正規社員もカバーする形で制度を作っている」と述べた。開所する放課後児童クラブ(学童保育)での感染拡大を防ぐため、小学校の空き室を居場所として活用させるとも語った。
加藤氏は、感染の有無を調べるウイルス検査の1日あたりの件数について、2月26~28日に平均1200件程度だったと説明。3月10日までに検査能力を民間も含め4600件程度に引き上げる考えを示した。検査を公的医療保険の適用対象とすることで「民間が検査能力を高めようというインセンティブになる」と述べた。
一方、首相は「常に最悪の事態を想定し、あらかじめ備えることが重要だ」と述べ、新型インフル特措法と同等の措置を講ずるための立法措置を早急に進める考えを示した。緊急対応策の第2弾を10日をめどにまとめる方針も表明した。
同特措法は、急速な蔓延(まんえん)で国民生活などに甚大な影響が及ぶような場合、政府が緊急事態宣言を発令。知事は外出の自粛や学校の休校などを要請できる。同特措法を改正すれば、新型肺炎対策でも緊急事態宣言の発令が可能となる。
予算委は首相と全閣僚が出席して令和2年度予算案の基本的質疑を行い、参院での本格論戦がスタートした。予算案の今月中の成立は確実となっている。