ジョンソン英政権が、英国放送協会(BBC)の受信料の廃止を検討している。「テレビ離れ」が進む若者を中心に受信料の支払いに反発が広がる中、ジョンソン氏の方針を支持する国民は少なくない。BBCの問題は、同じ公共放送であるNHKの受信料をめぐる議論に影響を与える可能性がある。(ロンドン 板東和正)
ジョンソン政権「ハッタリではない」
「首相官邸がBBC受信料の廃止を協議している」
英日曜紙サンデー・タイムズ(電子版)が2月16日に報じた記事は放送関係者に衝撃を与えた。
同紙によると、ジョンソン政権は視聴の有無にかかわらず支払い義務があるBBCの受信料を廃止し、視聴する分だけお金を払う課金制度に移行することを検討。さらに、検討案の中には、現在10チャンネルあるBBC全国放送の削減やラジオ局の売却のほか、ウェブサービスの縮小、キャスターの副業禁止なども盛り込まれているという。
BBCは政府からの独立が保障され、報道機関として中立を維持している。だが一方で、英政府は、BBCの受信料の額や存続の可否などを決める権限を持っている。
2027年までは受信料制度の維持が決定済みだ。受信料が廃止されるとしてもそれ以降になるものの、テレビを所有する一世帯当たり年間154・5ポンド(約2万1000円)の受信料が徴収できなくなれば、「経営に大打撃を与える」(放送関係者)可能性は高い。BBCは1月末、8000万ポンド(約110億円)の経費を節減するために、報道部門の450人を解雇する計画を発表したばかりだ。
受信料を廃止しようとするジョンソン政権の動きは以前からささやかれてきた。