【TVクリップ】「東北魂TV」一番お笑いの仕事をした気分になれる サンドウィッチマン





お笑いコンビ、サンドウィッチマンの伊達みきお(左)と富澤たけし(酒巻俊介撮影)

 まもなく東日本大震災の発生から9回目の祈りの日がめぐってくる。笑いで元気を届けたいと、震災から半年余りの平成23年10月に始まった深夜の5分番組。今では30分枠に拡大し、東北地方では地上波の「岩手めんこいテレビ」でも放送される人気ぶりとなっている。

 「芸人としては、とてもやりたかった番組。スタジオコントは減っていますから、しっかり作り込んだ笑いを披露できる場所があることはありがたいです」

 一見こわもてな伊達みきおが笑顔を見せる。東北と銘打ってはいるものの、ロケで被災地を訪れることもあれば、実在のジャーナリストのパロディーコントで時事ネタを扱うなど、さまざまな笑いを仕込んでいる。伊達は「復興支援番組と構えることなく、コント番組としても楽しめるものを目指しています。実はせりふを覚えるのが大変なんだけど、一番お笑いの仕事をしたなという気分になれる番組です」。相方の富沢たけしも「笑いをきっかけに東北の現状を伝えられたり、東北に行ってみようと思ってもらえたりすればうれしいですね。大切な番組のひとつ」と相づちを打つ。

 共演者にはマギー審司、狩野英孝、鳥居みゆきら東北出身者がそろう。番組をより面白くしているキーパーソンは「何といっても狩野くんでしょう。とんでもないことをしても、出来の悪い弟みたいで許してしまう。そういう思いで見ている宮城の人もいると思いますよ」と富沢。同郷の出演者が作り出す笑いに、親近感を抱く視聴者が多いことも番組が長く続く秘訣(ひけつ)になっているようだ。

 宮城県気仙沼市でテレビ番組の撮影中、震災に遭遇。命からがら高台まで避難し、直後に津波が家屋をのみ込んでいく光景を目の当たりにした。その記憶があるだけに、被災地のロケでは新しい街並みや建物に驚くことも多い。「ロケはいつも信じられない件数が詰め込まれているんですよ。回りきれないだろうと思うけど、下調べがしっかりしてるんでしょうね。全ロケこなして、面白いものになっている」と富沢が苦笑する。

 被災した人たちから声をかけられることも多い。伊達は「震災から何年の節目かなんて関係ないと聞きます。その思いは僕たちも大切にしたい。悲しみが消えることはないけれど、一歩ずつ前に進もうとしている東北の人たちの姿を伝えられれば」と語った。(石井那納子)

 だて・みきお 昭和49年9月、宮城県生まれ。絶妙な間から生まれるツッコミには定評がある。趣味は高校野球予想、Vシネマ鑑賞、各地方のうまいモノを巡る。仙台藩伊達家分家の末裔(まつえい)。

 とみざわ・たけし 昭和49年4月、宮城県生まれ。平成10年、高校の同級生だった伊達とコンビ結成。「M-1グランプリ2007」で史上初の敗者復活からの優勝を果たした。コンビで宮城県内の自治体の親善大使や観光大使を務める。



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