癒えない傷、今も 東日本大震災の被災地で犠牲者に祈り





【東日本大震災9年】東日本大震災の発生から9年を迎え、南三陸町震災復興祈念公園で手を合わせる米国出身の女性。「アメリカから来て今この町に住む私を皆が温かく応援してくれるので、私もこの町のために手を合わせたいと思った」と話した=11日、宮城県南三陸町(松本健吾撮影)
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 東日本大震災の被災地では11日、強い風が吹く中、遺族らが早朝から犠牲者に祈りをささげた。「月日が流れるほどに悲しさは増し、どうしようもない」。9年が過ぎても、大切な人を失った傷は癒えない。

 自宅が津波にのまれ、夫と孫を亡くした宮城県南三陸町の主婦、守屋国子さん(69)は、海を見下ろす寺で墓に手を合わせた。孫の阿部佳恋ちゃん=当時(4)=は生きていれば中学生。「剣道部に入っていたかな」と成長を思い浮かべた。自分が抱きかかえて逃げていれば、と後悔は消えない。「孫の姿を思う度に『ごめんね』って言うんです」と涙を流した。

 岩手県宮古市の田老地区。同市の中学校で校長を務める沼田弘二さん(55)は、約30年前の教え子が犠牲に。「みんなをまとめて成長していったことを思い出す」と無念さをにじませ、教え子の名前が刻まれた慰霊碑に花を手向けた。

癒えない傷、今も 東日本大震災の被災地で犠牲者に祈り



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